■男性は「やっているつもり」でも女性には伝わっていない現実
夫婦間の感情労働=感情のケアの実態について、岡田氏は男女およそ1200人(20〜59歳)を対象に調査を行った。「配偶者から話し合いの働きかけがあったか」という問いに対し、男性は「時々あった」が33.4%、「まあまあよくあった」が31.9%だったのに対し、女性は「時々あった」が28.0%、「まあまあよくあった」が24.3%と、男女間で差が見られた。さらに、話し合いの働きかけが「全くなかった」と回答した割合は、男性の7.2%に対し、女性は11.9%に上った。
この結果について岡田氏は「男性も決して配偶者に対するケアをしていないわけではなくて、男性自身はすごく内面ではやっているつもりなのだけれども、それが女性側にはあまり伝わっていない。特に話し合いを持ちかけるとか、何か相手が嫌なことがあった時に慰めるとか、そうした行動としてよく表れるような感情的な気遣いは、やはり女性の方がより多く担っているし、その恩恵を男性のほうが得やすいという状況が全体的にあったのかなと思う」と分析する。
また、「内心の傾聴」や「意見の尊重」といった項目でも、女性の方が男性よりも「配偶者から感情的ケアをしてもらっていない」と感じる人が多いという結果が出ている。
この結果を受けて、谷口氏は、周囲の様子に気づき、自ら気を配って行動する「気働き」という言葉を挙げ、育てられ方の影響にも目を向けた。
「例えば、飲み物がなくなった人に『お水はいりますか?』と声をかけたり、会話が途切れた時に場を取り持ったりする。そうした気遣い、つまりケアを、女の子の方が期待され、身につけるよう求められ育てられてきた面があると思います。一方で、男の子は、女の人たちから気遣ってもらうことを、当たり前として育てられてきたこともある。
こうした違いは、生まれつきというより、周囲から何を期待され、どのような大人の振る舞いを見て育ったかにも関係するのではないでしょうか。夫婦間のケアの偏りを考える時には、子どもの頃からの育てられ方にも目を向ける必要があると思います」と育てられ方の違いが影響している可能性を指摘した。
「年収の差」や「子どもの有無」で感情ケアに違い
