■人員3倍、予算9倍へ…「事前防災」と「発災後対応」の両立
これまで内閣府の一部署に過ぎなかった防災部門だが、庁への格上げにより、人員は約3倍に増強され、予算も約9倍の獲得を目指して拡充が進められている。意思決定を担う「統括官」も従来の1人から4人へと増やされた。
組織改編の最大の契機となったのは、従来体制における構造的な負荷の大きさだ。平時の「事前防災」と有事の「発災後の対応」を同じ組織が担っていたため、能登半島地震が発生した際には、進行中だった南海トラフ地震の被害想定検討会議が約半年間にわたってストップする事態に陥った。組織と人員を大幅に強化することで、平時の備えと発災時の初動対応を両立させる狙いがある。
■避難所環境の改善へ「TKBB」の整備を急ぐ
防災庁創設の大きな柱の一つが、避難所生活の劇的な改善だ。これは石破前総理が強く掲げていた構想でもあり、掲げられた4つの理念の中でも「国民の生命・人権の保護を最優先」とする方針に基づいている。
体育館での雑魚寝、冷たい食事、不衛生なトイレといった過酷な環境から脱却し、災害関連死を減らすため、防災庁では「TKBB」と呼ばれる要素の配備を進めている。これは「T=トイレ」「K=キッチン」「B=ベッド」、そして新たに入浴施設として加わった「B=バス」の頭文字を取ったものだ。
今年7月に起きた熊本地震の避難所でも、ベッドの不足や、酷暑の中で食中毒を警戒した結果として温かい食事の配給が進まないなど、依然として多くの課題が浮き彫りになった。細野大臣は、南海トラフのような国難級の災害では日数単位の確約は難しいとしつつも、中小規模の災害については「いつまでにTKBBをお届けするか」という明確な目標を設定して示したいとしている。ただし、災害の規模や地域ごとに状況が大きく変わるため、具体的な目標設定をどのように数値化して打ち出せるかが今後の大きな課題となる。
■「ふるさと防災職員」が担うラストワンマイルと地域の底上げ