日本代表FW大迫勇也が所属する1.FCケルンは、ペーター・シュテーガー監督の在任期間では、最も魅力的なチームに変貌しつつあるのかもしれない。

 日本の落語家、笑福亭笑瓶そっくりのシュテーガー監督がケルンを率いるようになったのは、2013年の6月から。12年に降格したケルンが、再起を図って2部を戦っていた頃である。スペイン人MFのようだった長澤和輝を除けば、中盤に創造性は皆無。それでも堅守を武器に、就任1年目でブンデスリーガ1部昇格を成し遂げた。

 傾向は昇格1年目も変わらなかった。ブンデス1部残留が至上命題だったことを考えれば、それも仕方ない。中盤に求められるのはクリエイティビティではなく、硬いブロック。34得点40失点と、決して失点数は少なくはなかったが、無事1部残留を果たしている。

 シュテーガー監督が“色気”を見せ始めたのは、昇格2年目となる15/16シーズンのことだ。ソーレンセン、ハインツ、ヨイッチ、ビッテンコート、モデストといった選手たちを次々と獲得する。最終ラインから最前線まで、試合に変化をもたらせる選手たちが加わった。ヘクトルもドイツ代表の常連となり、中盤だけでなく、チームそのものに創造性が芽生えつつあった。1部に残留を果たしたことで、ようやく攻撃面に着手し始めることが出来るようになったとも言える。

 そして今季、大迫とモデストの2トップを本格的に採用する。前半戦の16試合でモデストは13得点と爆発。得点ランク2位に付けている。

 “永遠の背番号14”ヨハン・クライフによれば、ある選手が力を出し切れていないと思ったら、理由は2つしかないのだそうだ。それだけの実力だからか、力を発揮できるポジションを見つけていないから。

 シュテーガー監督によって、モデストは“力を発揮できるポジション”を見つけた。それは大迫についても言えるだろう。得点は序盤の2点に止まっているが、理由は本人曰く「ポジション」にある。大迫は「前に入ればもっと自信はある」と言う。前半戦の終盤に掛けては怪我人が続出し、中盤を任されることになった。ゴールからは遠ざかってしまった。

 しかし、ウインターブレイクも明ける今、中盤にレーマンやビッテンコートは復帰し、マインツからクレメンスが新加入。押し上げられるようにして、大迫は再びモデストと2トップを組むはずだ。シュテーガー監督が見出した、大迫が最も“力を発揮できるポジション”。モデストと組む2トップこそが、大迫の活きる道なのだ。

 そしてモデストや大迫だけではない。他の所属選手についても、ヘクトルのインサイドでの起用といったように、シュテーガー監督は“適所”を見つけている。

 守護神ホルンは復帰していないが、シュテーガー監督がヨルク・シュマトケSDと二人三脚で作り上げてきたチームは、攻守のバランスに長けた魅力的なチームに変わりつつある。いよいよ選手たちが適材適所で輝くケルン。

 大迫の今季3点目が生まれる日も、そう遠くはないはずだ。

取材・文/本田千尋

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