【写真:ゲッティ】

 2日間通算4オーバーの110位タイ。タイガー・ウッズにとって17ヶ月ぶりのPGAツアー出場となった「ファーマーズ・インシュランス・オープン」は、カットラインに4打及ばない予選落ちに終わった。

 この結果はもちろんタイガーには不本意だろう。ただ、大会を前に「長期間第一線から離れていたから、試合数をこなしていく必要がある」と話していたことを思えば、さほど深刻には受け止めていないに違いない。

 ともあれ、多くのファンやゴルフ関係者が待ち望んでいたツアー復帰を果たしたタイガー。彼らが次に期待するのはツアー80勝目であり、メジャー通算15勝目である。タイガー自身も「マスターズに出たいし、5度目の優勝を狙いたい」と語り、ピークを4月第2週に合わせるために、コンスタントに試合に出場することを明らかにしている。

 だが、メジャー制覇が難しいのはいうまでもない。タイガーが最後にメジャータイトルを手にしたのは、2008年の全米オープン。年間6勝を挙げ3度目の獲得賞金1,000万ドル突破を果たした2009年、再発した膝痛やスキャンダルを乗り越え年間5勝した2013年のいずれも、メジャーには手が届かなかった。それにタイガーも昨年12月で41歳になった。何かと比較される帝王二クラウスでさえ、40歳のシーズンにメジャーで2勝したものの、その後は46歳でマスターズに勝っただけだ。

 では、もしタイガーが再びメジャータイトルを手にするとしたら。カギになるのは、やはりパワーに頼りがちなゴルフからの脱却だろう。そもそも全盛期のタイガーも、優勝争いから脱落するのは、飛距離を求めるあまりショットを曲げてしまうのが原因であることが多かった。だが、たとえ飛距離のアドバンテージがなくなっても、タイガーにはスティンガーショットに代表される高度なショットがあり、数々の栄冠をもたらしてきたクラッチパットがある。“力”から“技”のゴルフへの転換は、これまで何度もメスを入れてきた膝や腰への負担を和らげることにもなる。

 タイガー自身、「ファーマーズ~」の大会前、予選ラウンドで同組になったジェイソン・デイとダスティン・ジョンソンの飛距離について聞かれ、次のように答えている。

「彼らは猛烈に飛ばすだろうが、僕は気にしない。ただ、自分のゴルフをするだけだ。ゴルフはスコアの少ないほうが勝つゲームだからね」

 自分のゴルフとは、すなわち2017年バージョンのタイガー。それを試合で実践し、若い世代と優勝争いを演じる姿をまずは見てみたい。

文・魚住了

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