神の逆鱗に触れたのか。4月23日に行われたエル・クラシコ。宿敵FCバルセロナの登場に、サンチャゴ・ベルナベウが白熱する。世界中が注目する伝統の一戦で、レアル・マドリードの“蛮行”が荒れ狂った。
20分、自陣左サイド。マルセロは、ドリブルでカゼミーロを交わしたメッシからボールを奪うや否や、小柄なアルゼンチン人の顔面に肘を入れた。うずくまる神の子。口から真紅の血が溢れた。
人間であれば、相手の愚行に怒りを覚えないはずがない。しかし、それからメッシは、表面上は何事もなかったかのようにプレーを続けた。クラシコという大舞台にもかかわらず、白いガーゼを口に咥えながら、黙々とプレーする。33分、ブスケツ、ラキティッチとの連携でペナルティエリアに入ってくると、モドリッチとナチョを軽々とかわし、平然と左足でゴールを決めてきた。胸の前でさりげなく十字を切り、静かに天を仰ぐメッシ。