7月16日に開催されるKrush・後楽園ホール大会は、タイトルマッチを軸とした通常の興行とは趣を変えて開催される。
ここで行なわれるのは、日本vs中国の6対6対抗戦。ウェイ・ルイがK-1王者になるなど急成長を遂げている中国格闘技界だけに、その存在は今後さらに注目されるはず。今回の出場メンバーは、コーディネートを担当した岩熊宏幸氏によると「中国でもトップ中のトップといっても過言ではない」という。
5月16日の記者会見では、以下の対抗戦6カードが発表に。
- 1.里見柚己vsワン・ジュングァン
- 2.佐野天馬vsユン・チー
- 3.瑠輝也vsドン・ザーチー
- 4.渡部太基vsティエ・インホァ
- 5.小宮由紀博vsチュー・ジェンリャン
- 6.卜部弘嵩vsコン・ロン
日本代表のメンバーを見てみると、前半3試合には若い選手たちが登場する。Krush王座挑戦経験もあるユン・チーと対戦する佐野は、結果や試合内容を王者・小澤海斗と比べられることにもなるはずで、だからこそインパクトを残せば大きく前進できる。
また里見、瑠輝也もトップ戦線入りが期待されるホープ。対抗戦出場はまたとないチャンスだ。対抗戦後半3試合には、豊富なキャリア、実績を持つ選手たちがリングに。渡部は-67kg王座を失い、復帰戦でも敗れて今回が出直しの一戦。小宮は前回、-65kg王座決定戦に敗れている。卜部は、2月にK-1の王座から陥落。再スタートで久々のKrush参戦となった。
タイやヨーロッパの強豪にも勝利しているチューとの対戦に「とにかく今回はいい試合がしたい」と語ったのは小宮。観客にインパクトを残すことで復活を果たしたいようだ。「対抗戦で日の丸を背負っての闘いにはシビれるものがあります」とは渡部のコメント。宮田充プロデューサーによると、あえて対抗戦という注目度の高い舞台に上げることで、彼らの持ち味を発揮させたいという狙いもあるようだ。
それは卜部も同じこと。「このところK-1で闘ってきましたが、自分のベースはKrush。日本代表として、Krushでメインを張ってきた者として勝ちたい」という卜部。2月のK-1でベルトを失ったが、「その時より今のほうが強くなってます。試合の3日後から練習を再開して、ずっと気を抜かずに追い込んできた。すぐにでも試合できるくらい調子がいいですね」ともファイターとしての出直しに“無難な試合”は必要ないというのが、いわばKrushイズム。卜部も「世界的にも一番伸びている」という中国との対抗戦は、屈辱を味わった選手たちの再起の場でもある。
文・橋本宗洋