デビュー以来の快進撃を続ける将棋の中学生棋士・藤井聡太四段(14)が、5月25日に第30期竜王ランキング戦決勝で、近藤誠也五段(20)と対戦する。勝った方が、渡辺明竜王(33)への挑戦権をかけた本戦トーナメントの出場権を獲得する。5月18日に藤井四段の対局を見守った深浦康市九段(45)は「完成度がとにかく高い」と高く評価した。非公式戦ながら対戦経験もある藤井四段について、詳しく聞いた。

 無傷の連勝記録を続ける藤井四段だが、公式・非公式含めて、各タイトル戦の上位組で活躍する棋士との対戦は、それほど多くない。そのうちの1人が現在、順位戦A級に所属する深浦九段だ。AbemaTVの特別企画「炎の七番勝負」で藤井四段と対戦し敗戦。天才棋士の実力を、早い段階で感じた。18日の対局を見ると「急所の局面でしっかり考えて、受けがしっかりしていました。しっかり受けて、力をためてから爆発させるというのが、今日はよく分かりました」と語った。

 デビュー当初は藤井四段=詰将棋=終盤力というイメージもあったが、実際に対戦経験があるベテラン棋士は、当初から総合力の高さを感じていたという。「現時点でいろいろなものを兼ね備えているのは特筆すべきことだと思います。羽生さんが四段のころは、終盤力がけた違いでしたが、序中盤に穴があって。なかなか形勢がよくならないところを粘っているうちに終盤になって、逆転するというのが多かったです」と、羽生善治三冠(46)と比較した。「藤井さんは序中盤でも、相手方がリードを奪えない。そのまま終盤にもつれても、しっかり勝ち切る。恐るべき14歳だと思いますよ」と脱帽した。

 深浦九段が注目した点は他にもある。「無理のなさ」だ。「普通、10代の棋士というのは終盤力とか構想力とか、いろいろと秀でた部分はありますが、得意なものに寄せようと将棋が偏る傾向にあります。いろいろな経験、勉強をしてバランスが良くなって、トッププレイヤーになっていくんです。ただ藤井さんは今の完成度がとにかく高い。(指し手に)全然無理がないですね」と、再評価した。

 25日の対局は、若手実力者の1人、近藤五段と対戦する。「序盤、中盤の構想力が近藤さんの持ち味ですから、そこで形勢を損なうと、藤井さんといえども危ないと思います。序中盤から長考が目立つ将棋になると思いますし、互角で終盤にもつれ込めば藤井さんのペースと言っていいと思います」と戦況を予想した。天才棋士が再び完成度の高い将棋を見せるのか、それとも別の引き出しを開けてくるのか。新星の底は、まだまだ見えない。

(C)AbemaTV

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第30期竜王ランキング戦<6組>決勝 近藤誠也五段 対 藤井聡太四段 | AbemaTV
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