芸人は、テレビでネタを披露したり、ひな壇に座ってトークをしたり、バラエティー番組で司会をしたりというのが今までの主な仕事だったのだが、最近、新たな仕事が増えてきている。それが「コメンテーター」だ。
昔は芸人が政治や社会を語ることは滅多になかったが、極楽とんぼ・加藤浩次の『スッキリ!!』(日本テレビ系)やホンジャマカ・恵俊彰の『ひるおび!』(TBS系)など、芸人が情報番組のMCを務めることがすっかり定着してきている。『スッキリ!!』の番組開始当初、加藤浩次はバラエティー色しかなく、朝の情報番組で視聴者に受け入れられるのか心配されていたが、それを払拭し今や日本テレビの朝の顔となっている。
芸人が情報番組で政治や社会を斬ることが視聴者に受け入れられると、ますます芸人が情報番組のMCをする機会が増えてきた。そこで重要となってきたのがコメンテーターの人選だ。芸人がMCをする際にやりやすいのは、やはり周りに芸人がいることである。芸人は場の空気を読むのがとても上手で、ふざけながらも真面目に番組進行を考えている。瞬時にその場にあった的確な発言をしてくれる芸人が周りにいると、MCとして安心できるのだ。
同じニュースを扱う情報番組となると、他の番組と違ったことをしなければ視聴者を獲得できない。そこで、日ごろから人と変わった角度からモノを見ている芸人が注目され、コメンテーターとして起用されるようになった。それが視聴者にとっては新鮮であり、その芸人コメンテーターの発言が良くも悪くも話題になることが多くなった。
人を笑わすのが仕事なので、コメンテーターとして定着すると、本業に支障が出てしまうのではないかという不安が芸人にはある。それを払拭したのがダウンタウン・松本人志だ。松本がニュースを斬るとネットニュースになることが多く、その発言が毎回注目されている。
ある中堅芸人はこう話す。
「前までは芸人が真面目なことを言うことに抵抗がありましたが、あの松本さんがテレビでニュースを独自の目線で語っているのを見て、芸人がニュースを語ってもいいんだと思うようになりました。それから自分ならどういう発言をするのか勉強するようになり、コメンテーターとしての仕事もやるようになりました」
ほかにも、小籔千豊やロンドンブーツ1号2号・田村淳、オリエンタルラジオ・中田敦彦など多くの芸人が自分の色を出しながらコメンテーターとして活躍している。
芸人コメンテーターは笑いを入れながら、ときにはかなり偏った発言もすることがある。それがネットで炎上し問題になったりするが、逆に番組の宣伝になったりもしており、これからも芸人コメンテーターの需要は増えていくだろう。
(文/AbemaTIMES編集部)