6月11日の記者会見で、K-1の新階級・ウェルター級(67.5kg)の初代チャンピオンを決めるトーナメントの出場メンバーと組み合わせが発表された。
9月18日、さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナで開催されるこのトーナメント。1回戦の組み合わせは以下のようになった。
渡部太基vsモハン・ドラゴン
山際和希vsメルシック・バダザリアン
塚越仁志vsハン・ウェンバオ
前Krush王者の渡部は真っ向勝負が身上の激闘派。対するモハンも“勝っても負けてもKO”のタイプだけに試合の“危険度”は異様に高い。渡部は「あまり付き合わずしっかり勝ちたい」と言うが、現在の同階級で屈指の好カードなのは間違いない。
山際はBigbangのウェルター級王者で、前日の大会では久保とドロー、過去に渡部、モハン、元Krush王者の牧平圭太に勝っている。派手さはないが、実力は確かなものがあるだけに、このトーナメントでブレイクする可能性も大きいのではないか。
現Krush王者としての出場を果たすのが塚越。タイトルを獲得した渡部戦、初防衛を果たしたモハン戦とダウンの奪い合いを展開し、いま最も熱い試合をするファイターと言っていい。K-1初参戦の塚越だが「K-1のベルトがほしいわけじゃない」とコメント。目標としてK-1参戦をあげる選手も多い中、塚越は常に今後の目標として「Krushのチャンピオンであり続けること」だと語ってきた。今回も「Krushのベルトをもっと輝かせることが目的」だという。いわば塚越のK-1参戦は“ひとり他流試合”だ。
そして1回戦最後の試合は、久保vs木村。65kgで世界トップの戦績を残したこともある久保に、先日のKrushで復活を果たした木村が挑む。
この2人、かつては同じジム(Fighting Kairos)に所属しており、精神的には現在でも同門対決、兄弟対決に近いものがある。実際、久保は、決勝で当たるのなら仕方がないと割り切れるが「1回戦だと私情が入ってしまう」と一度オファーを断ったそうだ。「弟のような存在」であり「歳下だけど尊敬している」という木村に対して「プロとして鬼になれるかは、正直まだわからないです」と複雑な思いを口にした。
一方の木村も、久保を「人生を預けるつもりで、背中を追いかけて上京してきた」、「いろんなことを教えてくれた大好きな兄貴」だという。しかし久保とは逆に、だからこそ「試合ができることに喜びを感じる」と語っている。そして極めつけは「久保選手をぶっ殺します」
友情と格闘家としての野望が交錯するこの試合。共通するのは「この試合で勝ったほうが優勝する」という言葉だ。木村はそのために「馬鹿にならないとトーナメントには勝てない。リミッターを外してパンチを振り回す」という。
そのコメントを聞く限り、久保との対戦にも吹っ切れている様子の木村。前回の試合で完全に覚醒したということか。今回のトーナメントは打ち合い上等の選手が多いだけに、これまで以上に展開が読めない。だからこそ、木村は輝きを増すはずだ。