史上最多の29連勝を達成し、日本中の注目の的となった中学生棋士・藤井聡太四段(15)。連勝中の大ブームの際は、連日メディアが大々的に報じたが、どうにも定まらないものがある。それが、藤井四段の異名だ。これまでも棋士には数々の異名、キャッチフレーズ、肩書きがつけられてきたが、今のところ藤井四段を表現するものが定まっていない。これまで出てきた棋士たちの異名なども確認した。
デビュー以来、藤井四段に対して最も多く使われているのが「天才」だろう。過去にも将棋界では度々使用されることがあり、先日引退した加藤一二三九段(77)は「神武以来(このかた)の天才」と評された。また、当時のタイトルを独占する「七冠」を達成した羽生善治三冠(46)についても、天才の2文字が多用される。
次に多いのが「神の子」「神童」といった、神がかり的な強さから「神」の1文字を取り入れたものだ。「神童」は主に少年時代に優れた才能を持つ子どもに使われることが多いことからか、藤井四段が中学生ということもあり、あまり見かけなくなった。「神の子」は、ゴルフ界でいえばスペインのセルヒオ・ガルシアに対して使われることが多い。こちらは複数のメディアが現在も使っているようだ。
他の棋士の異名は、次のようなものがある。佐藤天彦名人(29)はファッションや音楽、特にクラシックが好きということから「貴族」と呼ばれている。渡辺明竜王(33)は漫画家・藤子不二雄Aの作品「魔太郎が来る!!」のキャラクターに似ていることから、「魔太郎」となった。
また、棋士の特徴をつかんだ、必殺技のようなネーミングがつくことも多い。永世名人の資格を持つ谷川浩司九段(55)であれば、あっという間に相手玉を追い詰めることから「光速の寄せ」と呼ばれた。また、羽生三冠は終盤で大逆転する一手に「羽生マジック」の名がついた。さらに戦型については、新たなものを考案した棋士の名前がつくこともあり、藤井猛九段の「藤井システム」、塚田泰明九段の「塚田スペシャル」など多数ある。
すっかり将棋界の中心人物の1人となった藤井四段。8月10日には順位戦C級2組の対局が控えている(AbemaTVで放送)。未知数な部分もありなかなか異名も定着しないが、今後さらに活躍し続ければ、それにふさわしいものが自然と生まれてくるはずだ。
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