K-1の歴史の中で、ヘビー級に続いて作られた、いわば“伝統の階級”と呼べるのが70kg級だ。旧K-1では魔裟斗を筆頭にK-1ワールドMAXが数多くの人気選手を輩出した。現在、この階級(スーパー・ウェルター級)のチャンピオンはチンギス・アラゾフ。テクニックと倒す力を併せ持った、究極の王者とも言える選手だ。
そんなアラゾフに挑戦の名乗りを挙げたのが、日本の日菜太。アラゾフが優勝してベルトを巻いた6月のトーナメントでは初戦敗退を喫したが、闘志はまったく衰えていない。早くも9月18日の大会((18日(月)14:30~AbemaTVで生中継)での再起戦が決まった。
対戦相手は55戦のキャリアを誇るセルジオ・サンチェス。パンチャータイプの選手で、日本では無名ながら「スーパー・ウェルター級の外国人は無名でも怖い」と日菜太は言う。外国人には一発で試合をひっくり返すパワーも持つ選手が少なくないし、どこに強豪が潜んでいるか分からない。豊富なキャリアの中でさまざまな相手と闘ってきたからこその実感だろう。
日本人は不利とも言われるスーパー・ウェルター級だが、日菜太は「僕は逃げたくない」とこだわりを見せる。現在の目標は、もちろんチャンピオンベルト。圧倒的な強さを誇る王者アラゾフに対しても「相性はいいと思う」と言う。
そしてベルトを巻き、トーナメントで自分に勝ったジョーダン・ピケオーにリベンジするというのが日菜太の青写真だ。今回の再起戦は、そのためのアピールの場。主催者や観客に「日菜太がアラゾフとやったら面白い」と思わせるような試合をすることが重要だ。
そのためにも、積極的にKOを狙う。今大会からKO賞として20万円のボーナスが提供されることもあり「K-1はKOを狙うスポーツ。最初から判定を狙うんだったら、それはK-1じゃない」。この言葉からも、日菜太のモチベーションの高さが伝わってくる。
かつてK-1 MAXでも活躍しながら、新生K-1とは距離を置いた立場にいたため複雑な思いを抱いてきた日菜太。しかし今は、K-1における日本の70kgを城戸康裕とともに支えるところにいる。31歳、ベテランと言っていい域になってきた日菜太が目指すのは、あくまでK-1スーパー・ウェルター級のベルトだ。