9月18日のK-1さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ大会で行なわれるウェルター級王座決定トーナメント(18日(月)14:30~AbemaTVで生中継)、その最注目の組み合わせが久保優太vs木村“フィリップ”ミノルの1回戦だ。
(新スタイルの精度を高めてトーナメントに臨む木村)
両者とも、この階級(-67.5kg)ができると-65kgから転向。新生K-1初のトーナメントにも出場しており、この新階級でベルトを巻くことは悲願と言っていい。
そんな絶対に勝ちたいトーナメントの初戦で闘うことになった久保と木村は元・同門。木村が上京してきた時に所属したのが、当時の久保のジムだった。木村にとって久保は兄貴分であり、格闘家として憧れの存在。久保にとって木村は「練習だけでなく食事にも行ったり、本当の弟よりも弟のような存在」だ。
それだけに闘いにくい相手かと思いきや「まったく気にしてない」と木村は言う。「どこかで覚悟していた」とも。同じ階級で同じベルトを目指す以上、対戦は避けられない。それがファイターの宿命ということか。むしろ対戦できることに喜びを感じるとも語っている。
もともとパワフルなパンチに定評のある木村だが、階級を上げたことでさらにパワー系のトレーニングに取り組むことができたという。加えてムエタイの名門ウィラサクレックジムで、ボクシングとムエタイを融合させた「自分にしかできないスタイル」に取り組んでもいる。今年に入り見せている、この新スタイル。精神的には「ひたすら倒すことだけ考えていた昔に戻った感じ」でもあるようだ。
倒しにいくからこそ隙が生まれ、倒されることも多い。そんな闘いを見せてきた木村は、今回も「ダメージを少なくしようとか、スタミナ配分とかは考えてない」。あくまで自分らしく闘い、その上でK-1王者になるつもりのようだ。曰く「バカになったヤツがチャンピオンになる」。
(久保が非情になりきれるかが勝負の分かれ目か)
対する久保は、対戦決定の記者会見で複雑な胸中をのぞかせていた。試合に向けての日々の中でも「私情が入らないように」「トーナメントで闘う相手の1人だと思うようにして」という心境のようだ。
一度は木村との1回戦を断ったという久保。しかしオファーを受けたのは「世界の頂点に立つためには、勢いに乗っているミノルくんと闘って勝たなければ」と感じたからだという。
「17歳でデビューして今年30歳。ラストチャンスのつもりでやります」
そう語った久保。試合は「勝っても負けてもKO決着」になると予想している。ただし、トーナメントの経験が豊富なだけに「ケガをしないことが大事」「徹底してリスクを管理して闘う」「世界一を獲るためだけに試合に臨みたい」とも語っており、木村戦もいかにクールに闘えるかがポイントになりそうだ。
「心を鬼にできるか否か。僕も楽しみにしています」
久保が迷いを断ち切った時、リング上ではどんな光景が展開されるのか。残酷なマッチメイクに対するスタンスが好対照な2人。優勝に近づけるのはどちらか1人だけだ。
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