2017年はK-1の勢力図が大きく変わった年として、格闘技ファンに後世に語られる―。
2月に21歳の大雅が卜部弘嵩を下し、K-1 WORLDスーパーフェザー級王座を獲得、19歳の平本蓮が初代ライト級王座決定トーナメントのファイナリストへ、6月の大会では、19歳の西京春馬が小沢海斗に勝利と若い力が台頭する中、最もビックサプライズを起こしたのが、4月のトーナメントを制し第2代K-1 WORLD GPスーパーバンタム級王者となった21歳の武居由樹だ。
9月18日に開催される「K-1さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ大会で行なわれるウェルター級王座決定トーナメント」(18日(月)14:30~AbemaTVで生中継)で、武居はタイトル獲得後初の試合、対伊澤波人戦に臨む。
それまでKrush王者として-53kgで戦ってきた武居にとって、1階級上のスーパー・バンタム級しかもK-1のトーナメントというのは大きな挑戦の一つだった。武尊のフェザー級転向により空位になったタイトルという重みに加え、国内外ふくめ強豪がひしめく中、持ち前のどんどん前にでるアグレッシブなスタイルを貫き戴冠。その強さが階級を超えて本物であることを証明した。
小学4年、10歳の時に更生の目的で門を叩いた足立区にある所属ジム「POWER OF DREAM」。古川誠一会長の元に住み込みで練習を続けてきたという武居。その練習する姿を見る限りでは、公園で軽いランニングや後ろ走り、タイヤを押す・叩くといった内容。時には和気藹々とした空気の中で「この練習環境でチャンピオンが生まれるのか?」と思う疑問すら感じる瞬間があるが、古川会長との二人三脚で行う利にかなったトレーニングにより徐々に強い王者となる土台が築かれていったのだという。
公開されたドキュメンタリー「ONE DAY #15」では、武居のプライベートでの自然体すぎる姿を捉えているが、彼の過去を知る人々はかつての荒れていた彼のことを回想する。今ではにわかに信じられない話ではあるが、興味のなかった格闘技へ徐々に向き合うようになり、強くなるうちに闘うことが好きになっていたという。番組でも「10年前最初に格闘技をはじめた自分は本当に夢も希望もない子どもだった」と回想するが、10年という月日が、努力を生み出し、その中で人々と接することで自覚が芽生え、積み重ねの中で夢を見つけ王者になっていく、という理想的な姿そこにある。
足立区の皆が応援するローカルヒーローから世界へ。今回も試合後に「足立区から来ました武居由樹です」というお馴染みのマイクパフォーマンスが聞けることを期待したい。