将棋の23歳以下の若手棋士と40代のトップ棋士が7人ずつの団体戦で競う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」の第4局が10月21日にAbemaTVで放送され、青嶋未来五段(23)が郷田真隆九段(46)に128手で勝利した。これで若手チームは佐々木大地四段、佐々木勇気六段、そして藤井聡太四段(15)に続き無傷の4連勝。一気に団体戦勝ち越しを決めた。
これが若手の勢いか、それとも世代交代の荒波か。将棋界でも珍しい世代間による団体戦だが、棋士やファンの想像を超える若手チームの4連勝という結果が目の前に現れた。勝った青嶋五段は対局後「3連勝だったのでプレッシャーはかかっていました。自分だけ悪い意味で目立ちたくはなかったですし。まさか若手が全員勝つとも思っていませんでしたから」と率直な思いを口にした。若手の頃から将棋界をリードしてきた40代のトップ棋士に対し、続々とチームメイトが壁をぶち破る中で、青嶋五段も遅れをとるわけにはいかなかった。
団体戦とはいえ、次世代を担おうとする若手チームの中では、今の実力や存在感を示しあう戦いでもある。「40代の世代はかなり強い。そこに若手がどう立ち向かうか。将棋界は常にそういう構図になっています」と説明した上で、「(自分は)タイトル戦の挑戦まであと一歩で負けてしまった。やっぱり挑戦しないと意味がない」と、常にタイトル奪取を意識している。すぐ上の世代として、菅井竜也王位は25歳で初タイトルを獲得した。将棋界に置いて20代半ばは、デビュー間から数年であっても実力的には全盛期。ここでいかに勝ち抜けるかが、その後のプロ人生を大きく左右する。
若手とベテランのチーム戦も、残すところあと3戦。一部からは「展開次第で若手の全勝もある」との声も聞かれていたが、将棋界全体を揺るがす「若手全勝」という事態も、現実味を帯びてきた。
敗れた郷田真隆九段のコメント 青嶋五段がオールラウンドプレイヤーなので、どういう形になるか予想がつかなかった。僕が若い時に流行っていた将棋でしたが、途中から未知の世界、おそらく実戦例もない将棋になりました。若い人が出てくるのは自然の流れ。若い人も完成度が非常に高いですね。気持ちの部分で、若い人だから一日の長があると思って指しているとやられてしまう。こちらも頭をつけて向かっていかないといけないのは、はっきりしています。
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