様々な競技の世界に生きる選手たちにフォーカスするとき、たびたび話題になるのが勝負メシ。私たちも、大事なときには縁起を担いでカツ丼を食べたりしますよね。ベストなパフォーマンスを発揮するために、各界のトッププロたちは、食事に関して様々なこだわりを持っています。今回は「験かつぎ」「体力作り」だけではない、プロ雀士の食事に関するエピソードをご紹介します。
麻雀プロの間では今、空前の肉食ブーム。たくさんのプロが、対局前に、ステーキやしゃぶしゃぶなどを食べる様子をSNSで報告しています。このブームの火付け役は、多井隆晴プロ(RMU)。野菜ばかり食べていると、農耕民族のようにおだやかな気持ちなってしまう。肉を食べることで狩猟民族のような闘争心を湧き上がらせよう、というのが持論です。この勝負メシを10年以上は続けているそうで、その間の多井プロの勝ちっぷりを見ていれば試してみたくなりますよね。
自らを流れ派雀士と称する瀬戸熊直樹プロ(日本プロ麻雀連盟)。RTDリーグの解説で発した“勝負の前にカレーを食べると負ける”発言が話題になりました。一時期麻雀プロの間で勝負メシとして流行したカレーですが、瀬戸熊プロにとっては悪魔の一皿だったようで、カレーを食べた日は負けばかり。苦手意識を作りたくない、という理由から何度か挑戦しましたが、結果は毎度思わしくなく、勝負前のカレーは封印することとなりました。
麻雀で勝つにはメンタル管理も欠かせませんから、気分良く対局に入れるよう、縁起を担いで気持ちを盛り上げることも必要です。瀬戸熊プロのブログでは、奥様の美味しそうな手料理(カレー以外)を食べて勝負に挑む瀬戸熊プロの様子を知ることができます。
ある日のRTDリーグでは、選手のお弁当にシラス丼が用意されたことがありました。麻雀では最下位の4着のことを「ラス」と言うので、そのことから「シラス→4ラス→4ゲーム連続ラス」が連想されて縁起が悪いと選手たちは大騒ぎ。そんな中、平気で食べていたのが、誰あろう、小林剛プロ(麻将連合)と石橋伸洋プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会)でした。究極のデジタル雀士として知られるお二人は、悪いジンクスを一切気にしない強い精神を持っていることがわかったひとコマでした。
中にはメンタルを科学するプロもいます。白鳥翔プロ(日本プロ麻雀連盟)が対局に必ず持参するアイテムは、チョコレート。抗ストレス作用のあるアミノ酸「ギャバ」が配合されたものを持参して、おやつでメンタルコントロールをしているのです。
雀界きっての鬼才・鈴木達也プロ(プロ麻雀協会)は何と、絶食派。対局前は食事も睡眠もとらず、自分をギリギリの状態に追い込むことで集中力を発揮します。この方法を真似している人は殆ど見たことがないので、万人に有効な方法ではないのでしょう。しかし達也プロの研ぎ澄まされた麻雀を見ていると、達也プロならではの修行が効果を発揮しているのだなと納得します。
麻雀界にもある勝負メシ。プロ選手たちのこだわりは参考になりましたでしょうか?皆さんのコンディション作りにはもちろん、楽しい観戦にもお役立てください。【麻雀キャスター・小林未沙】
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