全棋士で最も通算勝率が高いのは、なんとなく分かるかもしれないが、藤井聡太四段である(勝率.891、55戦49勝6敗)。次は藤井四段と同期の大橋貴洸四段(勝率.769、39戦30勝9敗)。これに次ぐ3位にランクインするのが近藤誠也五段(21)だ。(勝率.740、100戦74勝26敗 いずれも11月8日現在)将来のタイトル獲得が期待される若手だ。
ルーキーイヤーから力を発揮。2015年10月、奨励会三段リーグを突破して19歳で四段昇段を果たすと、いきなり各棋戦で活躍を始めた。特に初参加の王将戦予選で快進撃を見せる。1次・2次予選で7連勝を飾り、棋界最難関とも称される王将リーグ入りを果たした。四段の王将リーグ入りは1989年の屋敷伸之九段以来、26年ぶり。いかなる偉業かお分かりだろう。
羽生善治棋聖、久保利明王将、糸谷哲郎八段、深浦康市九段、渡辺明竜王、豊島将之八段(いずれも現在)という凄まじすぎるメンバーを相手に4敗を喫してリーグからは陥落してしまったが、糸谷八段と羽生棋聖には勝利。強さが本物であることを示した。また、昨期は51人が参加した順位戦C級1組で9勝1敗の好成績で上位3人の枠に入り、C級1組に昇級。早くも五段昇段を果たしている。棋風は、若いながらも居飛車党本格派。木村一基九段に教わりたいというのは自然な選択肢なのだろう。
誠也と言えば、広島カープの鈴木誠也外野手はプロ4年目の2016年に大ブレイクした。3年目まで通算6本塁打だった男が突然、打率・335、29本塁打と覚醒し、日本代表にも選出された。近藤五段も半年後の来年4月からはプロ4年目を迎える。ファンが「神ってる」と感嘆するような可能性も今までの活躍を考えれば十二分にある。
ちなみに近藤は大のプロ野球フリーク。カープ…ではなく、西武ライオンズと涌井秀章投手の大ファンだ。四段に昇段した2015年は、涌井投手が近藤の地元・千葉をフランチャイズとするロッテに移籍して2年目で最多勝を獲得した年。四段昇段会見で記者から出た「涌井が地元に来てうれしいのでは?」との質問に「いえ、自分はやはり西武が好きなので…」と正直な思いを打ち明けた。
◆近藤誠也(こんどう・せいや)五段 1996年7月25日、千葉県八千代市出身。所司和晴七段門下。棋士番号は303。2007年9月に奨励会入り。2015年10月1日に四段昇格を果たしプロ入り。実質的なデビュー年となった2016年度に、公式戦で羽生善治棋聖に勝利する快挙。AbemaTV「魂の七番勝負」第7局(11月11日放送)で木村一基九段と対戦する。
(C)AbemaTV