若手棋士が7戦全勝の“完全勝利”か、トップ棋士が意地を見せるか、将棋界でも珍しい世代間の団体対抗戦の焦点は、その1つに絞られた。23歳以下の若手棋士と、40代のトップ棋士が7人ずつの対抗戦で戦うAbemaTV「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」。両チームとも豪華なメンバーをそろえたが、結果はここまで若手の6戦全勝と、周囲の予想をはるかに超えるものになっている。最終第7局を戦うのは木村一基九段(44)と近藤誠也五段(21)。団体戦としての勝敗は決まっているが、全勝・全敗となれば、将棋界に与える印象は大きく変わってくる。
「世代交代なるか?」をテーマに掲げた、今回の対局企画。公式戦でも20代の若手棋士が、続々とタイトルに挑戦。40代のトップ棋士が築いた牙城を崩し始めた。40代の棋士たちが若き頃に先輩棋士たちを倒し続けたが、四半世紀ほどたった今、同じ状況が起きつつある。奨励会時代、木村九段の対局で記録をつけていた近藤五段も「非公式戦ですけど、当然勝ちにいきたいと思います」と、闘志を燃やしている。
デビュー間もない若手棋士がトップ棋士と対局することすら難しい将棋界のシステムの中で、世代間による団体戦は非公式戦でも珍しい。その上で、若手チームが圧倒的な結果を出していることは、まさに「世代交代」の象徴というほかない。ここで白星が7つ並ぶのか、それとも黒星が1つついて終わるのか。今後の公式戦においても、若手がベテランに挑む時のメンタルを左右しかねない大一番の結果が、いよいよ明かされる。
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