将棋の23歳以下の若手棋士と40代のトップ棋士が7人ずつの団体戦で競う「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」の第7局が11月11日にAbemaTVで放送され、木村一基九段(44)が近藤誠也五段(21)に98手で勝利した。七番勝負の全対局が終了し、結果は若手チームの6勝1敗。トップ棋士チームは全敗を免れた。
若手の実力を称えた上でねじ伏せた。トップ棋士全敗を防いだ木村九段は「勝ってないという話はちらほら聞いていましたが、さほど意識はせずに臨めました」と落ち着いた口調で話した。6連勝の勢いに乗って、全勝を目指してきた近藤五段を返り討ち。「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ男が、盤上だけでなく勢いそのものも受けとめた。
「段位を超えた実力者」と呼ばれる、低段位の若手棋士の実力は、骨身に染みるほど知っている。「今の後輩たちは、みんな熱心にやっている。力もあるので(実力も)五分五分なんて思っていない。むしろ分が悪いと思っています」と語った。かつては自分も先輩棋士たちを打ち倒し、将棋界のトップに上り詰めた。今では立場が逆転し、後輩の強烈な突き上げを食らう日々だ。「長い目で見れば、いつかは越えられてしまうとは思うけれど、それがなるべく先になるように抵抗したいなとは思っています」と、意地も見せた。
非公式戦の団体戦ながら、若手の6勝1敗という結果は、将棋界に大きなインパクトを与えた。20代の棋士が続々とタイトルを奪取していく中、さらにこれから「世代交代」が加速する可能性も大いにある。また、その勢いを受けとめようとベテラン棋士たちが踏ん張ることで、盤上には見たこともない名局が生まれていく。将棋界はこれから、大きな時の流れに沿って、群雄割拠の時代に突入する。
敗れた近藤誠也五段のコメント 飛車をお互い手持ちにしてから、私の方がどう指すか難しくて、その後急に崩れてしまって、形勢が悪くなってしまい残念でした。個人的には、5勝1敗ぐらいで来て欲しかったですね(苦笑)