将棋のプロ棋士の対局は、頭脳はもちろん時には12時間を超える長時間の戦いに耐える体力、精神力も重要だ。実際に戦う対局者はさることながら、これを見守る記録係にも苦労がある。プロ棋士になる前の奨励会員が務めるが、大先輩の棋士の前ということもあり足の痺れやトイレを我慢し、時折襲ってくる眠気とも戦っている。
修行中の奨励会員となれば、トップクラスの棋士たちが目の前で戦う様子は、絶好の勉強の場。最高の教材を記録できるのだが、記録係にも戦う相手はたくさんいる。AbemaTVで解説を務めていた藤森哲也五段(30)は、午後2時ごろの出番で「このぐらいの時間は、(室温が)あったかくなっていい感じなんですよ」と、眠気が襲ってくる時間だと説明した。「今、記録の子が一番頑張っていると思いますよ。対局者も相当疲れますから。修行中の奨励会員ですけど、あの子も深夜まで頑張りますからね。応援してあげてほしいですとコメントした。
記録係の経験が豊富な藤森五段だからこそ、実体験による苦労話も豊富だ。「トイレにめちゃめちゃ行きたくなった時、大変ですよ。(昼ぐらいの)時間なら、ちゃんと『失礼します』って言えば、対局者も記録の気持ちが分かるので大丈夫。でも終盤の競った時とか、もうどうしていいかわからないですからね」と、トイレに抜けるタイミングも状況を察するスキルが必要だ。「足も痺れますよ。記録係だけあぐらをかくって失礼じゃないですか。だから2人があぐらの時にかいたりしますね」。
1日で最長の対局は、順位戦の持ち時間各6時間。昼、夜の食事休憩はあるが、対局は午前10時から始まり、終局が日をまたぐこともある。若いころから、この長時間の苦労に耐えることも、トップ棋士への道だ。
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