格闘界をにぎわせたレジェンドファイターの推薦したアマチュア選手同士がトーナメントで、K-1との正式契約と賞金300万円を争う「格闘代理戦争」。魔裟斗が提案したトライアウトの一次審査が発表された。
現在のところ魔裟斗と山本KIDが2枠を固めているが、すんなり候補選手を挙げたKIDに対して魔裟斗は「トライアウトで広く選手を募る」という方法をとった。
魔裟斗ほどの格闘技の実績を持ったファイターが強固ネットワークをもって強いファイターを一本釣りすることはさほど難しいことではなさそうだが、敢えてそんな枠から漏れた逸材探しという遠回りな方法をとったのにも、何らかの意味があるに違いない。
魔裟斗が集めた選手たちのテストを行い「ポテンシャルの高い選手を取る」と宣言し行った通称「魔裟斗トライアウト」。自己アピール時に注目したのはキックボクシング、REBELSのアマチュア大会MVP、サッカー歴10年、元キックJ-NETWORK選手で現会社員、K-1甲子園ベスト4、ムエタイ王者とほぼ格闘経験者ばかり、ここから集まった33人をふるいにかける体力テストは反復横跳びや上体起こし、立ち幅跳び、変則ダッシュ、腕立て伏せなど非常にオーソドックスなものが並ぶ。
この体力テスト、単に体力からポテンシャルを導き出すだけでなく、その場での姿勢闘争心なども魔裟斗の目が光っているのがくせ者だ、中でも真っ先に一目置いたのが、魔裟斗のライバルだったブアカーオ・ポー.プラムックのジムで幼少から鍛えられたという山本大雅、タイのキックボクシング大会でも優勝経験を持つ彼は反復横跳びで2位、立ち幅跳びで1位と集団から一歩リードする。
その後も淡々と体力テストが行われるが、瞬発系の基礎的な能力を測るこれまでのものとは違ったのが最後の「腕立て伏せ」ここでスタミナと根性をみる。腕立て数を争うのではなく淡々とスローペースで計測した結果、心の強さをみせた選手が生き残りをかける。
そんな中、推薦候補一次審査の8人に選ばれたのは、腕立てでぶっちぎりトップを記録した柔道経験者、高田寛也。REBELSのアマチュア大会「BLOW-CUP」のMVP樽床尚希。格闘未経験、サッカー歴10年の冬澤悠大。キック歴8年証券会社勤務の吉村智。元キックJ-NETWORK王者の松村英明。2017年K-1甲子園ベスト4、野口隆希。魔裟斗いち押しのムエタイ経験者の山本大雅。そして自己破産した直後に婚約と他の選手とは全く違う意味で退路を断って挑んだ男、西村一樹が最後の8人目の枠に飛び込んだ。
この一次審査、一見すると逸材揃いに見えたが、その直後に魔裟斗が「まだまだフィジカルが弱いね。次までに各自で練習して貰わないと、今のレベルではリングに経つのは早いなと、相当根性入れてやらないと間に合わない」と断言。二次審査いかんでは「推薦選手としては名前は貸せない」と、候補者ゼロの可能性もあることを示唆。格闘経験者もいるとはいえ魔裟斗推薦の枠でリングに上がる上で妥協は一切しないという頑な姿勢も垣間見えた。
「我々はいつまでもかつてのスターに頼っている訳にはいかない!」このテーマは日本格闘技界共通のテーマだ。「格闘代理戦争」がそんな問題を解決して次世代スターを輩出できるかは、現状ではまだ判らないが、逸材探しはまだまだ続く。