11月23日のK-1(さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)で木村“フィリップ”ミノルと対戦する城戸康裕は、これがウェルター級(-67.5kg)に階級を下げての初戦となる。

(記者会見での出で立ちやコメントでもファンの目を引く城戸。木村戦発表会見では「殴り込み」をイメージしたとか)

スーパー・ウェルター級(-70kg)でもトップファイターとして活躍、テクニックやスピードを活かした闘いぶりが光っていただけに、下の階級でも不安はないようだ。

城戸のファイトスタイルの中で大きな武器になっているのが、抜群のタイミングで繰り出される左ストレートやバックブロー。本人に聞いてみると、タイミングのよさは研究の成果ではなく「その場で(タイミングを)合わせてます」という。「感覚なんですよね。職人技の世界というか。動きだけじゃなくて表情だったり呼吸だったりで“あ、これ入るな”っていうのが分かるんです」。

城戸は普段の練習でも、対人練習で初めての相手と向き合うのが好きだという。「レベルが高いけどやり慣れてる人より、アマチュアでも初めての相手のほうがいいんですよ。そういう人とやって、1Rは様子を見て、2Rから攻略していくっていう。そうやって頭を使うのが好きなんですよね」

新生K-1屈指のKOパンチャーである木村との対戦は、好対照の個性を持つ選手の激突と言えそうだ。

「ミノルくんのヤバいところもダメなところも分かりますからね。仮にその予測を上回ってきても、僕は軌道修正できる。ファイトスタイルをガラッと変えることもありますから。いきなりムエタイスタイルになったり、インファイトを仕掛けたり」

毎回、自らのアイデアで撮影した“煽りV”で観客を笑わせる城戸。旧K-1ではシリアスなことしか許されなかったが、Krush、新生K-1では「なんでも受け入れてくれる」ところにもやりがいを感じているという。

「一回、宮田さん(プロデューサー)から“今回はシリアスにやってくれ。メインイベントだから”って言われたことがあったんですけど、僕は“じゃあメインじゃなくてもいいです”って言ったんですよ。思えばあれがターニングポイントでしたね。宮田さんも“そんなにか!”って思ったみたいで(笑)。試合前だから緊張もしてますけど、やっぱり煽りVがウケてると気持ちよくリングに上がれますね。今のところないですけど、もしどんズベリしたら、試合でメチャクチャ動きが悪くなる可能性があります(笑)」

試合だけでなく煽りVを通しても、城戸は観客との一体感を楽しんでもいるようだ。「K-1のファンはあったかいし、格闘技を盛り上げようっていう気持ちが強いと思いますね。特に若いファンからそれを感じます。“K-1はこんなに面白いんだ”って人に薦めたり」。

新生K-1で初めて格闘技を見たという若いファンも多いことだろう。実際、城戸も「昔のK-1 MAXに出てた選手のことを全然知らないっていう人もいますからね」と言う。そう言っている城戸が、K-1 MAXに出ていたのだが。

過去を知らない、新生K-1をまったく新しいスポーツ、エンターテインメントとして受け入れているファンの中で闘うことも、ベテランの城戸には楽しいようだ。「自分がこの歳で最前線でやってるっていうのは驚きですけどね。でも、まだまだやっていこうと思ってます」

11.23さいたま大会は、34歳にして新たなスタートとなる一戦だ。

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