K-1ウェルター級の注目マッチは、期待を上回るものになった。11月23日のさいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ大会で、木村“フィリップ”ミノルは、スーパー・ウェルター級(-70kg)から-67.5kgに階級を落としてきた城戸康裕と対戦。70kgでのトップクラスで活躍してきた城戸との対戦はリスキーだが、木村は「それがK-1」とオファーに即答したという。
試合は身長の高さ、リーチを武器とする城戸が蹴りを巧みに使い序盤戦をリード。パンチが武器の木村にインファイトを許さない。しかし木村は蹴りを食らいながらも圧力をかけ続け、パンチで攻勢。2ラウンドに右フックで2度のダウンを奪う。
ここから城戸が粘りを見せた。カウンターのヒザをボディにヒットさせると、木村の動きが落ち、クリンチする場面も。攻め込まれた時の木村のもろさが出てしまうかと思われたが、それでも木村は前に出てパンチでダウンを奪ってみせた。
簡単には勝たせてくれなかったが、木村は文句なしの判定勝利。城戸に逆転を許さなかったあたり、精神面での成長も感じさせた。試合が終わった瞬間、マットに突っ伏すほど感情があふれ出た木村。マイクを握ると、あらためて「これからは俺の時代です」。さらにウェルター級王者の久保優太に「兄貴、リスペクトを込めて、俺の挑戦受けてください」と王座挑戦をアピールした。
木村と久保は王座決定トーナメント1回戦で闘い、久保が勝利を収めているが、その試合で木村も手応えを掴んだという。二人は元同門で、まさに兄弟のような関係でもあった。それだけに、久保は「できれば避ける方向で」と苦笑。しかし正式なオファーがあれば逃げないという。木村は城戸撃破、久保とのリマッチと、一気にウェルター級のドラマの中心になった。
また、この大会ではスーパー・バンタム級(-55kg)王者の武居由樹も登場。今回は武尊と激闘を展開したビクトー・サラビアとの試練の一戦だったが、なんと1ラウンド1分38秒という短時間でKO勝利。バックスピンキックを完璧に決め、崩れ落ちるサラビアに追撃のボディブローを打ち込んでみせた。「軽量級でも倒して勝つ」というモットーを持つ武居は、その言葉通りの勝利で絶大なインパクトを残してみせた。
K-1は12月27日の後楽園ホール大会を経て、いよいよ来年3月、さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナに進出。新生K-1最大のビッグマッチに向け、木村、武居と役者が揃ってきた。