次世代のK-1ファイターを発掘する格闘リアリティ番組「格闘代理戦争」。山本KIDの秘蔵っ子、テコンドー出身のファイター・スソンが、そのトレーニングからその実力がベールを脱いだ。
彼が所属する「KRAZY BEE」には、山本KIDをはじめ朴光哲、矢地祐介と総合格闘技の世界で何戦も経験して来た強者揃いだ。このメンツと共に加入半年でメニューをこなすアマチュア選手、スソンというのは驚異的とも思えるが、その一方で「優勝しか考えていない」と語る通りさらに上を目指しているのは明らかだ。
彼の一週間のメニューをざっと見ると月、木、金にシャドーやミッド打ちなどを週3日間は「K-1対策」ともとれるメニューをこなしつつも、本来の総合格闘技のグラップリングやスパーリングを並行して行う。バイトを辞め格闘技一本に絞ることで練習時間も増えたようだ。
組み技などの練習では、KIDとスソンとの師弟によるトレーニングなど見せ場も見せつつも、やはり気になるのは打撃の技術だ。アジアを代表する総合団体ONE FCの元ライト級王者、朴光哲との実践的な打撃練習では、形こそ総合格闘技のスタイルをとるが、回し蹴りや、強烈なミドルを放つも、徐々に朴の強い圧力に押され手数が減っていく。
KIDからも「相手に打撃を与えてからの体勢の整え方」という指摘どおり、打撃を打ち込んだ後のガードなどにまだまだ課題が残る。スソン自身も「表面的に見るのではなく3Dで空間全体を見る」など自身の動きを分析して行く。
元修斗、パンクラス、RIZINに参戦している矢地祐介は「格闘技は8割はメンタルの競技。自分の精神面をいかに優位に持っていくかが凄く大事。技術あってのメンタルですけど、メンタルで優位に立ちどういった攻撃をするか?を、自分の中で考えて自分のリズムでラウンドを持っていけるように、練習から意識すること」と、格闘技においてのメンタルの重要性および自身を優位に置く日頃のシュミレーションをポイントに挙げた。
一方、師匠の山本KIDは「締めるとこは締めて抜くとこは抜く。全部意識していたら当たるものも当たらなくなっちゃう。(手の内が)バレちゃうし、殺気が凄すぎて。勇気があっても試合で心折られたら、できなくなってくる事もあるから。その時の忍び足の練習もした方がいい。」と、これもまた経験則に基づくアドバイス。強力な武器を持っていてもラウンド通して戦い抜くペース配分や、抜いた時に相手に反撃されない技術など経験者でないと判らない領域も多い。
朴光哲は、「KRAZY BEE」加入から半年間後のスソンのコンディションについて「スタミナがついてはいい感じ。」、パンクラスに参戦している平岡将英は「K-1ルールはスソンに有利なルールだと思います。」、矢地は「日に日に僕らの技術を吸収しているし、スタミナや体力もついてるから余裕なんじゃないですかね?そんじょそこらの奴とはモノが違う。真面目なんで、格闘技はセンスじゃなくていかに日々練習して鍛錬するか、だから。」と語る。ある意味山本KID公認というより日本を代表する総合格闘技集団「KRAZY BEE」公認となるとさらに責任は大きい。
「手の内」ともいえる核心に触れるシーンはなるべく番組ではカットされているものの、放送を重ねる毎に丸裸にされるというのはアマチュア選手にとっては大きなプレッシャーだが、トレーナーをつとめる朴も「必殺技はバレてても決まるのが必殺技」とスソンのテコンドー技術はK-1の世界でも十分通用すると踏んでいるようだ。数ヶ月後にこの男がどこまで進化しているか?期待は高まる。