12月27日、映画『孤狼の血』(2018年5月12日公開)の合同記者会見が同作の舞台である広島にて行われた。 主演を務めた役所広司、「原作にないミステリアスな存在」を演じた実力派若手女優・阿部純子、原作者・柚月裕子、そして白石和彌監督の4名が登壇した。
「シートベルトをしなくていい」役所広司、テレビでは実現不可能な男らしい作品に自信
白石監督は映画を作った経緯について聞かれると、「東映のプロデューサーの方から、『仁義なき戦い』のような東映が過去作っていた、エネルギーのある、勢いや力強さを映画に取り戻したいというお話しをいただきました。とても監督冥利につきる思いでしたし、そのプロデューサーの方々の熱量に自分が感染してできた作品でした。ただ『仁義なき戦い』など過去の作品と同様の物を作り上げるのは難しいので、その中で何ができるのかを考えました」とコメント。
そんな監督の気持ちを受け止め、どのように役に取り組んだのかを聞かれた役所は、「監督と初めてお会いした時に、『近年の日本映画は元気がないから元気な映画を作りたい』と言われ、脚本を読むとそのエネルギーを感じました。監督からテレビではできないような演出を指示されることもありましたが、シートベルトをしなくていい、映画ならではでしかできないことも多く、とても男らしい映画ができたと思います。役づくりというところでいうと、呉弁を撮影間近まで繰り返し練習し、言葉を体にしみこませて挑みましたが、大上に自分を近づけていくことができたので、呉弁は大きな味方でした。呉のみなさんに恥じないように頑張ったのですが、みなさんどうでしょうか?(笑)」と語り、笑いを誘いった。
そして原作にないキャラクターを演じた阿部は、「現場では監督や指導の方々に支えていただけて、私としてはこの作品に携われたことがまずとてもうれしく思いました。現場で呉弁を練習していたら、役所さんが私の台詞のイントネーションまで覚えてくださっていて、現場でフォローしてくださったんです。役所さんが演じる大上は頼りになる男性なのですが、今まさにここに『大上がいる!』と感じました。」と同作に参加した思い出を語った。
原作者の柚月は、自身の小説が映像化された感想を聞かれると「映画は圧倒されるぐらいの熱量で、いい意味で驚きました。小説では活字でないと、なりたたないミステリー要素の部分があるので、どうやって表現するのかと思っていたのですが、このように演出するのか、というようにとても感動しました。キャストの方々はスクリーンの中とでは別人で、まさにプロでとてもすごいことなのだと、実感いたしました」とコメント。
役所広司、撮影が休みの日は呉のスーパーでお惣菜を購入
また本作を広島でのオールロケで実施した決め手を聞かれた白石監督は、「実際に現場に来てまさに昭和63年の時代のような空気感を感じられたところが大きいです。また「仁義なき戦い」は呉を舞台にしながら、呉での撮影がほとんどできてないので、何か一つでも「仁義なき戦い」のエネルギーをこの映画にもたらすには、オールロケでの撮影がひとつの方法なのではないかと思いました」と回答。
印象に残った撮影現場を聞かれた阿部は、「撮影で使われた商店街がとても親しみやすく、ロケ現場と思えないぐらいでした。あとは広島焼きがおいしかったのが印象に残っています(笑)」と話し、役所は「呉の街はとても画になる街で、映画にするととても魅力的な場所だなと思っていました。撮影が休みの日はスーパーでお惣菜とか買ってました。(笑)」と広島での撮影期間を振り返った。
合同記者会見後には、映画完成後全国初イベントとなる、「キックオフパーティー」が開催。イベントに参加したのは、合同記者会見に登壇した4名と俳優のさいねい龍二の5名。ロケ地となった呉市をはじめとした広島の人々が集まり、5名は映画ヒットに向けて応援を呼びかけた。