平賀聡彦は気持ちを前面に出す攻めの麻雀で、プロ入り17年目にして初となるタイトルを獲得した。集中力の高さには自信を持ち、切り替えについても「役者をやっていたので」とオンとオフをうまく使いこなせるという。ただRTDリーグでは優勝したものの、所属する最高位戦日本プロ麻雀協会では、リーグ戦でまさかの失格、そして降格と自らの顔に泥を塗り、涙した。真の王者として、2年連続のRTDリーグ“主演男優賞”を勝ち取る決意を語った。

 RTDリーグ2017優勝によって「平賀聡彦という存在を知ってもらえた」と、自身の環境の変化をひしひしと体感している。平賀は、麻雀プロ団体日本一決定戦2016にて、各団体の代表選手32人中1位という結果を残し、RTDリーグ2017に初登場した。当時500人ほどだったツイッターフォロワー数は1年間で6倍となる約3000人。「佐々木寿人プロの2万人越えとは比べものにならないんですけどね」と笑うが、その反響の大きさには驚いたと語る。

 局面で随所に見せる密度の濃い集中力は、RTDリーグの卓上をも席巻した。「集中力に関しては、他のプロよりは勝っている」と自信を持っている。30歳でプロ入りする以前は、役者だったので「いつでもどこででも寝られるんです」と体力と精神の切り替えは得意だ。こんな滑舌の悪い役者がいたのかと自笑する役者時代は、芝居を通して自分を知ってもらいたいと打ち込んでいたという。今は「平賀って変な奴だなでも構わないんですけど」と麻雀を通して、認識してもらえたらと照れる。

 2018年は勝負の年とし、RTDリーグ連覇はもちろん、最高位戦日本プロ麻雀協会Aリーグへの復帰も目標のひとつに掲げている。実は昨年、10年間戦っていたAリーグから降級していた。「情けない話ですが、リーグ戦に遅刻という失態があり謹慎処分となったんです」。このことにより「自分の失敗は、自分の麻雀で取り返すしかない」と昇級への強い思いもある。

 その確固たる決意は、開幕戦に身につけるネクタイに込められていた。「心機一転、真っ向勝負で挑もう」と、プロ入り1年目に買ったマッコウクジラ柄のネクタイを身につける。謹慎処分になったときには、プロ活動を続けていくかどうかも考えた時期もあったと涙ぐんだ。そして「次こそが勝負だと思っています」と嗚咽を漏らし、どでかいタオルで目頭を押さえた。

 「やり始めた道だから最後まで貫く」覚悟を新たにした不器用な男が、RTD初の連覇を見据え、無骨に真っ向勝負に挑む。色褪せたマッコウクジラのネクタイとともに。【福山純生(雀聖アワー)】

◆平賀聡彦(ひらが・としひこ) 1973年12月12日、山梨県生まれ、O型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。RTDリーグ2017。異名は「マッコウ侍」。

(C)AbemaTV

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