今場所9勝1敗（1月23日現在）と大活躍の栃ノ心は、カスピ海と黒海に挟まれ、トルコの北に位置する国ジョージア出身の30歳。191センチ、173キロ立派な体躯はパッと見て、一般的なおすもうさんのイメージより、広く格闘技系アスリートな印象を受ける惚れ惚れするたくましさ！
しかも「角界のニコラス・ケイジ」とも呼ばれる男前っぷりでスー女たちの人気はもちろん高いけど、初場所初日、彼が土俵に上がると、2階席向こう上面から「栃ノ心、オレがついてるぞー！」と野太い掛け声が。それに続いてすぐ「オレもついてるぞー！」と、も一つ掛け声！ 男がエールを送るかっこいい男・栃ノ心。間違いなく、今場所の台風の眼の1人だ。
そんなたくましい男・栃ノ心だけど、実は2013年七月場所で右膝内側側副靱帯断裂の大けがを負って、西幕下55枚目まで陥落。もう引退か？と周囲も本人も一度は思いかけた。それでも親方からの励ましもあって、奮起。入院中にヤワに太ってしまった身体をキャベツとレタスとリンゴだけのダイエットで（これはあまりお勧めできないやり方ですが）戻し、徹底したトレーニングでけが前よりもたくましい、筋骨隆々の身体を作った。書けば1行だけど、どれだけ血のにじむような努力があっただろうか！ プロってやっぱりすごいのだ。
そしてけがからちょうど1年（2014年七月場所）、2場所で幕下から十両に復帰してすぐ、逸ノ城との重量級な優勝決定戦を制して優勝する。この取組、まだザンバラ髪で一気に番付を上がって来て勢いのある逸ノ城と、右膝の大きなサポーターも痛々しい栃ノ心の2分近くに及ぶ白熱の戦いで、正に手に汗握った。以来、栃ノ心と逸ノ城はものすごい熱戦になることが多いので、ぜひ場所ごとにチェックして欲しい！
そんな栃ノ心、実は大の料理好き。おすもうさんは番付が幕下以下の頃にだいたい順番で「ちゃんこ番」となり、包丁の使い方だとか、さしすせそな味付けだとか、料理の基本を教わり、“料理男子”な方がほとんどだけど、栃ノ心の場合は故郷のジョージア料理が得意で、自宅にはジョージアから持ち帰ったスパイスを揃え、かなり本格的に作るとか。
そうやって食にこだわるのは、彼のジョージアの実家がワイン農家だからかも？ ご存知ですか？ ジョージアって世界のワインの故郷。フランスやイタリアよりも古く、8000年前からワインが作られ、その味はフルーティーで飲みやすい！ まじ美味しいです！ 日本でも通販やワイン専門店で気軽に手に入るようになったけど、ここはぜひ国技館で栃ノ心の実家のワイン、売ってほしい。ポリフェノールやアントシアニンが多く、酸化防止剤も入ってないジョージア・ワイン、世界三大長寿国と言われるジョージアの健康の秘訣らしいので、国技館に合うんじゃないだろうか。
ちなみに小学校の同級生だった愛妻ニノさんとの結婚式の引き出物もジョージア・ワイン！ ワインなくして栃ノ心は語れない？ 18歳で日本にやって来た角界のソムリエ（？）栃ノ心。今場所を制して歓喜のワインに酔えるだろうか。【和田静香】
