初場所が終わった3日後の1月31日、番付編成会議が開かれて来場所(大阪/3月11日~25日)、新たに十両となる力士が発表された。今回、新たに十両に上がったのは貴公俊(たかよしとし 貴乃花)と炎鵬(えんほう 宮城野)の2人。
貴公俊は先に一卵性双生児の弟・貴源治が十両に昇進していて(2017年夏場所)、双子同時に関取(十両以上)になるのは史上初めてとか。中学生までバスケットボールの選手として全国大会にも出場する活躍だったそうで、実は相撲界、白鵬はじめ強い関取たちに元バスケットボールの選手が最近は多い。前後左右、上に下に、身体を機敏に動かしながら敵をかわしつつボールを操るバスケットボールは、相撲の動きに役立つのかもしれない。
1997年5月13日生まれの20歳。貴源治が十両昇進を決める前には兄弟で、巡業の「初っ切り」(相撲の禁じ手を面白く演じるもの)を見せて度胸もバッチリ。身長185センチ、体重148キロの恵まれた体躯の持ち主にして抜群の運動神経。期待が集まって当然だ。
一方の炎鵬は貴公俊とは真逆、169センチ・94キロと、小さな身体で相撲を取る「小兵力士」。100キロ未満の関取はチェコ出身で、稀勢の里の付け人を務めていたこともある隆の山(2014年春場所で十両に)以来。150キロ前後の関取が多い今では、とっても珍しい。
その炎鵬、金沢出身で金沢学院大学在学中に世界相撲選手権軽量級で2度優勝。それでも本人は教職を目指していて、プロの力士になるつもりはなかったとか。それが2016年12月の全日本相撲選手権で1回戦敗退。悔しい気持ちがつのり、宮城野部屋の朝稽古を見学に行った折になんと、横綱・白鵬に直々スカウトされて角界入りを決断! 四股名も横綱が、小さな身体でも心を燃やして大きな力士にあたっていけるようにと命名してくれた。しかも、横綱は炎鵬のデビュー前から自ら胸を貸して稽古をつけたとか。そういうの、異例らしい。いかに炎鵬に期待してるかが分かる。
その期待通り、炎鵬は昨年三月場所に前相撲でデビューを果たすと五月場所には序ノ口優勝、続く七月場所は序二段優勝、九月場所は三段目優勝と、負けなしの21連勝! 見ていて炎鵬、負ける気がしなかった!
AbemaTVの大相撲中継の解説にも登場、中学生スー女の久志本眞子さんは炎鵬に何度も会っているが、「いつも礼儀正しくて優しいです。口数は多い方ではないですが、真面目でしっかりした方」という印象を受けているとか。
相撲界では初めて髷を結った力士にはお祝い代わりにおでこを指でピンッと弾く「コンパチ」をするけど、十両昇進直前、髷を初めて結った炎鵬に眞子さんが「コンパチいいですか?」と聞くと、笑顔で「お願いします」と答えてくれたそう。ちなみにその映像、眞子さんのツイッター(@mako828mako) に上がってます。
眞子さんは、「あの身体で勝ち越し、優勝を決める。これから身体作りをして、もっと強くなりますね」と、炎鵬に大きな期待を寄せている。ちなみに十両に上がって関取と呼ばれるようになると、それまでお小遣い程度だった月給は一気に100万円以上に! 部屋では大部屋から個室になり、付け人もつく。美しい化粧まわしを付けて土俵入りを行い、相撲界のスターとして輝くのだ! 頑張れ、貴公俊! 頑張れ、炎鵬! 【和田静香】