今、食をテーマにしたアニメがブームになっている。今年放送のTVアニメを見ても『ラーメン大好き小泉さん』に『だがしかし2』『たくのみ。』と、食をテーマにした作品が目立つ。さらに2月からは『Fate』シリーズのスピンオフ作品である『衛宮さんちの今日のごはん』もアニメファンの間で注目が集まった。

(C)TAa・KADOKAWA・TYPE-MOON / 「衛宮さんちの今日のごはん」製作委員会
ひと口に「食がテーマ」と言っても、その切り口は千差万別。『ラーメン大好き小泉さん』は、竹書房の漫画雑誌『まんがライフSTORIA』にて連載中の、鳴見なるさんの漫画が原作だ。無口でミステリアスな転校生・小泉さんは、実はラーメンマニアだったというストーリーで、過去には、女優・早見あかりさんの主演でTVドラマ化(フジテレビ系)もされている。
『だがしかし2』は、2016年に放送されたTVアニメの第2期。小学館の『週刊少年サンデー』で連載されているコトヤマさんの漫画が原作だ。田舎にある駄菓子屋を舞台に、駄菓子屋の店主の息子や、お菓子メーカーの令嬢が、駄菓子に関する豆知識を披露するコメディー作品となっている。『たくのみ。』は、小学館の漫画配信サイト『裏サンデー』で連載中(その後小学館のコミックアプリ『マンガワン』でも配信)の、原作・火野遥人さんによる漫画。2018年1月からアニメも放送開始した。女性専用のシェアハウス「ステラハウス春野」を舞台に、主人公が同居人たちとお酒を楽しむという内容だ。
昨年12月31日に放送された人気ゲーム『Fate』シリーズのTV特番『Fate Project 大晦日 TVスペシャル 2017』にて、サプライズで第一話が放送された『衛宮さんちの今日のごはん』も話題だ。『衛宮さんちの今日のごはん』は、TYPE-MOONのゲーム『Fate/stay night』を題材とした派生作品の一つで、無料WEBコミックサイトKADOKAWA『ヤングエースUP』にて2016年2月から連載中だ。『Fate/stay night』本編でも主人公・衛宮士郎は「料理が得意」であり、実際に料理を作るシーンも描かれていたが、派生作品として描かれる『衛宮さんちの今日のごはん』のメインはまさに「料理」。
アニメに詳しいライターは『衛宮さんちの今日のごはん』について下記のように語る。
「『衛宮さんちの今日のごはん』は、主人公の衛宮士郎が、自身と関わる冬木市の住人やサーヴァントたちに料理を作り、その自慢の手料理を振る舞うという構成です。本編の『Fate/stay night』では、聖杯戦争に巻き込まれた主人公でしたが、『衛宮さんちの今日のごはん』では冬木市で過ごす平和な日常が描かれています。調理方法やレシピは、毎回しっかりと描かれていて、専門の料理監修者も就いていますね。しっかりと料理の手順が描かれているのでアニメを観るたびに、感心してしまいます。アニメを観たら食べたくなり、実際に作ってみたというアニメファンもいます」
⇒『衛宮さんちの今日のごはん』をAbemaTVで観る
⇒『ラーメン大好き小泉さん』をAbemaTVで観る
食をテーマにしたアニメは、突然ブームになったわけではない。1987年から放送されたTVアニメ『ミスター味っ子』は、寺沢大介さんの原作漫画とは異なる過剰な演出が話題となり、その後、多くの作品に影響をあたえたことで知られる。
そして、忘れてはいけないのが『美味しんぼ』だ。『美味しんぼ』は、1983年に小学館の漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』で連載がスタートした、原作・雁屋哲さん、作画・花咲アキラさんによる漫画(現在は長期休載中)である。1988年から全136話のTVアニメが放送されたほか、唐沢寿明さんや松岡昌宏さんの主演でたびたびTVドラマ化されるなど、グルメブームの火付け役となった。

(C)雁屋哲・花咲アキラ・小学館/シンエイ動画
その物語は、新聞記者の山岡士郎と栗田ゆう子が「究極のメニュー」作りをするという話から始まる。それに対し、ライバル紙が「至高のメニュー」と企画を立ち上げ、美食家の海原雄山が監修することになるが、山岡士郎と海原雄山は実の親子だったというもの。のちに、山岡士郎と栗田ゆう子は結婚し、憎しみ合っていた山岡士郎と海原雄山は和解することになるが、作中で発せられた印象的な言葉やキャラクターの台詞を覚えているファンも多いことだろう。
例えば「女将を呼べッ!!」は、料亭で出された料理を不満に思った雄山が発した言葉だ。また、雄山が出した鮎料理に感動した美食家・京極の「なんちゅうもんを食わせてくれたんや…なんちゅうもんを…」も印象深い。ちなみに京極は雄山の料理を食した後、山岡士郎の料理について「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」と発言している。
⇒『ミスター味っ子』をAbemaTVで観る
⇒『美味しんぼ』をAbemaTVで観る
深夜にアニメを観ていて恐ろしいのは「飯テロ」だ。飯テロは食欲を掻き立てる行為を指すネット用語だが、深夜アニメでもこれがしばしば発生する。最近では、アニメで描かれた料理を提供するコラボカフェなどもある。
コラボカフェではないが、昨年5月にスタートした三鷹の森ジブリ美術館(東京都三鷹市)の企画展示「食べるを描く。」も好評だ。同館は1年間の開催だった予定を、イベントの人気を受け、今年11月まで半年延ばすことに決定した。
人気を集める、食とアニメの組み合わせ。今後も引き続き目が離せないことになりそうだ。





