勝てば優勝という大事な一番を迎えても納谷は動じなかった。これまでのようにこの日も朝日凰を全く寄せつけず、突き放しで相手を圧倒。7戦全勝で難なく序ノ口優勝を成し遂げた。
「特に緊張はなかった。最初から(優勝)すると思ってやっていた」と言ってのける注目の“大型新人”。勝った7番のうち、豊昇龍戦が唯一、四つに組む相撲となったが、それ以外は自分の得意な形である突き押しに徹した内容だった。確かに序ノ口の中では実力は圧倒的に抜きん出ているが「優勝して当たり前」と見られていたプレッシャーもあったはず。しかし「負けられないというのはない。しっかり自分の相撲を取ることだけと思っていた」と硬さは微塵も見られなかった。
祖父で優勝32回を誇る大横綱・大鵬も、父親である元関脇・貴闘力も果たせなかった序ノ口優勝。納谷は幸先よい形で相撲界の大海原に出航した。偉大な祖父は入門から約1年半後、三段目で全勝優勝を果たし、ホープとして注目されるとそこから一気に出世街道を走り抜けて関取に昇進。新十両と同時に本名の「納谷」から「大鵬」に改名し、その後の活躍は周知の事実だ。
祖父同様、本名で相撲人生をスタートさせた18歳のホープ。「早く番付を上げたい。幕内でしっかり活躍できたらいい」。出世名「納谷」であっという間に番付を駆け上がっていくことだろう。
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