3月21日さいたまスーパーアリーナで開催された「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K'FESTA.1~」で、平山迅に1ラウンドKO勝ちした木村“フィリップ”ミノル。昨年の城戸康裕戦で復調の兆しが見えた木村だが、豪快なパンチでの1R勝利で、2018年のK-1ウェルター級戦線の主役の一人に踊り出た。
木村ミノルのここ数年は、試行錯誤の繰り返しといえるものだった。2015年こそ、-55kgから-70kgまで様々な階級に挑戦しことごとく勝利、今をときめく平本蓮にも土を付け、ゲーオ・ウィラサクレック、野杁正明とも好勝負を繰り広げた。その後MMAの苦い挑戦、Krushでの敗戦と歯車が狂い長いトンネルに入ってしまう。
しかし、2017年9月の「WORLD GP 2017 JAPAN ~初代ウェルター級王座決定トーナメント~」への出場は一つの転機といえるだろう。トーナメントで、優勝した現王者、久保優太の高い技術の前に敗れたものの、真っ向から打ち合う木村ミノルらしい戦いが蘇り、覚醒。打倒・久保を合言葉にウェルター級に定着することで、活路を見出した。
さらに驚くことにこれまでフリーで活動していた木村は、久保賢司が代表をつとめ、目標としている久保優太も所属する「K-1ジム五反田チームキングス」に加わるという驚きの選択をする。普通では考えられないことだが、あえて久保の所属ジムの門を叩き、地道なトレーニングするという、今までの勢いもそのままに戦略とそれを支える技術を叩き込まれ、数ヶ月前のムエタイジムでの強化からさらに一回り強くなって帰って来た。
今回の平山戦、共にハードパンチャーで、向こう気の強さが信条の選手同士ということで会見からバチバチの「倒すか倒されるか」の試合になることは、誰もが予想していたが、序盤で強力な一発を耐え抜いた平山に容赦なく猛攻を加え瞬く間にKO。我流で勢い一発の強さというイメージの木村だが、そのワイルドな勝ち方は全く変えずにファイターとしてはより完成された形で勝利を掴んだ。
試合後のマイクパフォーマンスでは「いきなり久保優太とやらせてとは言いません。あと1回、強いヤツ用意してください。誰でもいいです、強いやつを。そいつをぶっ倒した後に、チャンピオンに挑戦させて下さい。絶対に勝ちます」と、自ら条件付きの王者への対戦要求を突きつけた木村。
これまでの闇雲にトップを目指していた姿からは想像できない、一歩一歩自分の強さを確かめるスタンスへの成長も見られる。それは、より強い相手を求める変化は翌日の一夜明け会見での「こいつには勝てないだろう?という相手ともやってみたい」という言葉からも明らかだ。
何度倒れても立ちあがる不屈のメンタリティも彼の気持ちの強さを象徴していたが、持ち前の豪腕で相手をなぎ倒す姿はより魅力的だ。久保優太との「同門対決第2章」、その前の強豪潰し宣言も含め、やはり木村“フィリップ”ミノルからは目が離せないのだ。