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 新生活のための引っ越しシーズンを迎えている。しかし業者の予約が取れず、料金も高騰していることから、"引っ越し難民"が激増しているという。全日本トラック協会によると、引っ越しのピークは今月24日から4月8日ごろまで。協会では、この期間を外す「分散引っ越し」を呼びかけるチラシを作成した。

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 その余波は、新年度の組織改編で部署の引っ越しが大量発生した茨城県庁にまで及んだ。多忙を理由に業者に断られ続けた結果、職員が休日返上で引っ越しすることになってしまった。「業者に委託ができなくて、職員だけでできるのかなと正直なところ本当に不安ばかり」と県管財課の芳賀義文氏。 

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 背景には、安倍政権が提唱する「働き方改革」に伴う、トラックのドライバー不足があるという。これまで宅配業者はAmazonなどのネット通販による荷物の激増に対応するため、ドライバーたちに無理を強いてきた。しかし、宅配大手のヤマト運輸が賃金引き上げや労働時間の緩和などの働き方改革を断行、ドライバーの待遇が改善したため、引っ越し業界から宅配業界にドライバーが流れ、引っ越し業者が深刻な人手不足に陥っているのだ。

 引っ越しをこよなく愛し、会社まで作ってしまったお笑い芸人のたかくら引越センターは「業者さんが借りてしまっていて、レンタカーさえない状態」と話す。

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 「Amazonプライムの当日配送などの荷物量が急増したことで、ヤマト運輸が労働基準監督署から是正勧告を受けた。白旗を上げたヤマト運輸は荷物の受け入れを制限、配送料金も値上げしてドライバーの待遇を改善した。それで業界内でドライバーの需要と供給のバランスが崩れてしまった。給与は引っ越しの方が高いが、長い目でみると体にかかる負担が大きく離職率が高い。10年続けている人はほぼいない。そこで、長く続けられる配送の方に流れてしまう」。

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 こうした事態を受け、引越し業者大手の日本通運は一部単身者向けを値上げ、人材確保に全力を上げている。サカイ引越センターとアート引越センターも人材不足を懸念、引越し料金は家族向け長距離引っ越しは閑散期の3倍となる50~60万円、単身者向け近距離引っ越しは閑散期の4倍以上となる10万円以上に高騰しているという。

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 たかくら引越センターは「今までは業者側『引っ越しをやらせてください』が言っていたが、今は料金を高くしてもいいなら『引っ越ししてあげますよ』というくらいの状態だ」と話す。

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 コンサルタントの宇佐美典也氏は「運送業界全体の価格が上がってきている。ドライバーの有効求人倍率も戦後最高クラス。電通の問題から社会の流れが変わって、これまで許されてきたことが許されなくなった。そこで上がった人件費は、消費者に影響してくる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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