元大洋のエースで野球解説者の齊藤明雄氏が、今季から2段モーション、さらに中継ぎに挑戦する横浜DeNA井納について「2段モーションは有利になると思います。6、7回を任せられる」と期待を寄せた。当初、先発としてキャンプからトレーニングを積んできた井納のスタミナと、2段モーションによる球威アップがその理由だ。先発投手に故障が相次ぐ中、セットアッパーのパットン、さらにハマの守護神・山崎につなぐ、タイプが異なる「右・右・右」のリレーが機能するか。

 ラミレス監督が、先発候補の1人だった井納をリリーフで起用すると宣言したのは、開幕まで1週間を切った3月25日のことだ。齊藤氏は「あれは今年になって決めたことじゃないと思いますよ。おそらく去年のシーズンが終わった時点では決めていたと思います」と解説した。「キャンプからリリーフとして調整をしてしまうと、スタミナが小さくなってしまう。『先発かリリーフか、わからないよ』と言い続けて、体力をつけさせておいたんだと思います」と、考えをめぐらせた。そのスタミナが生きるのが、複数イニングを投げる「回またぎ」だ。

 現在のプロ野球ではリリーフ陣は1イニングをきっちり抑え、つないでいくのが主流。だが、齊藤氏は「7回、と決めるのではなくて6、7回というのもあると思いますよ。6回をパットンにして7、8回を井納とか」と、抑えは山崎で固定しつつ、井納・パットン・山崎、パットン・井納・山崎と、持ち味が異なる右腕3人を使いこなすと予想した。さらに左腕の砂田を挟むことで、相手打者の左右にも対応していくという。

 ポイントは2段モーションの生かし方だ。齊藤氏が気にしている点は、反動を使って投げられる分、球威は増すもののコントロールが定まるかどうか。それとセットポジションになった時の球威の落ち方だ。「セットに入った時に、どうなるのかな。ボールの威力が落ちる可能性はある。2段は力が入るので、コントロールが乱れることもある」と指摘した。となれば、井納が細かいコントロールを気にせず、2段モーションで思い切り投げられる状況となれば、イニングの頭からということになる。「自分もリリーフの経験がありますけど、回の途中より、回の頭からがいい。ランナーが出ていると、どうしてもシチュエーションが出来てしまっているので」。相手の出方を探るためにボール球から入り、カウントを取るために変化球を投げる。これも外れると、途端に打者有利の状況が出来上がる。こんな事態を招かないためにも、回またぎ以上に井納が登板する状況は、シーズン開幕当初は気を使うかもしれない。

 現役時代、抑えとしても133セーブを挙げた実績を持つ齊藤氏は「(回の途中だと)気持ちが全然違いますからね。リリーフで一番嫌なのは、前の投手が出したランナーをホームに返してしまうこと。自分が出したランナーなら、思い切って攻められますよ」と、実体験を振り返りながら語った。新たなフォーム、新たな職場で井納が輝き出すようにラミレス監督の采配がはまれば、横浜DeNAファンとしては、安心して試合終盤が観戦できるようになる。


▶3/30 17:50~【プロ野球開幕戦】横浜DeNAベイスターズvs東京ヤクルトスワローズ

【プロ野球開幕戦】横浜DeNAベイスターズvs東京ヤクルトスワローズ | AbemaTV(アベマTV)
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