春場所千秋楽、逸ノ城を取り切って勝ち星を2ケタに乗せた関脇栃ノ心に対し、八角理事長は大関取りについて記者から見解を求められると「当然、そういう場所になってくるでしょう」と夏場所が“大関リーチ”の場所になることを明言した。

 昨今、大関取りの目安は「三役で3場所合計33勝以上」とされている。栃ノ心は初場所で14勝の優勝、先場所は関脇で10勝の星を挙げており、2場所合計で24勝。夏場所は数字の上では9勝で“ノルマ”達成となるが、現実的には10勝が最低ラインになるだろう。また、初場所は平幕であったにもかかわらず、大関取りの起点の場所と位置づけられたのは、三役と対戦相手が変わらない状況でのハイレベルの勝ち星による優勝が評価されてのものだ。

 ところで、大関取りで言われる「三役で3場所合計33勝以上」というのはあくまでも目安であって、協会内にはそんな規定や内規などは存在しない。明確な基準がないだけに時に物議を醸すことも過去にはあった。稀勢の里は関脇で10勝、12勝、10勝と合計32勝ながら、相撲内容が評価されて推挙されたが、ごく一部で「甘い昇進」という声も上がった。逆に雅山は10勝(小結)、14勝の優勝同点(関脇)、10勝(関脇)と三役で合計34勝と数字の上では文句なしの成績だったが、大関取りの機運は全く盛り上がらなかった。昇進となれば、大関陣が前例のない6人となることも要因の1つだったと思われる。

 昭和時代の大関取りに関する報道を紐解くと「3場所で30勝」という表現が散見され、30~32勝での昇進も珍しくなかった。ちなみに現在、相撲解説でおなじみの元横綱北の富士氏は28勝で大関昇進を果たしている。

 1985年七月場所後、大乃国が3場所合計31勝で場所後、大関に推挙されて以降、28人が大関に昇進しているが(返り咲きを除く)、千代大海、前述した稀勢の里、豪栄道の3例を除けば、全て33勝以上となっている。千代大海は直近場所で横綱三代目若乃花を決定戦で破って初優勝、豪栄道は直前まで14場所連続で関脇に在位した安定感がそれぞれ考慮された形だ。

 こうしてみると昨今の“目安”は平成時代になって定着したようだが、それに従って合計勝ち星33勝まで「マジック○」など過去に比べ、数字偏重の報道になったことも否めない。結果はもちろん大事だが、相撲内容、番付状況など、大関昇進は目に見えない部分も含めてあらゆる点が考慮され、決定されるのだ。

(C)AbemaTV

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