とっさの判断が求められるのは、将棋の盤上でもステージ上でも同じだ。アイドルグループSKE48の「将棋ガール」こと鎌田菜月が、国民栄誉賞も受賞した羽生善治竜王の着想から生まれた新たな早指し将棋に挑戦。「ハラハラ感がすごいですね!」と慌てながらも、日々アプリで鍛えた実力を示した。対局後には「頭の中で大混乱していて、わけのわからない手を指しました(笑)」と振り返ったが、瞬時に頭を働かせることに棋士とアイドルの共通点を見出していた。

 鎌田が挑戦したのは、わずかな持ち時間ながら1手ごとに5秒が加算されるという独特な超早指しルール。アプリで10秒以内に指すルールで練習を積んでいたこともあり、序盤はどんどん指して持ち時間を貯め込む作戦に出た。それでも「あ、時間あるなと思って余裕をもって指していたら、いつの間にか時間がなくなっていて…。途中からわかんなくなっちゃって、崩れていく感じがすごかったですね。でもこのスピード感はクセになります」と、未体験の感覚を振り返った。

 2年半ほど前から将棋を始めたが、今では対局番組やニュース、コラムもしっかりチェックするなど「観る将」としてのレベルも高くなった。「棋士の先生たちは、戦法が頭や体に染み込んでいると思うんですよ。だから早指しになっても、とっさの判断ができて、パッと手が出るだろうし、どういう手が出てくるのかすごく楽しみです」と、考え込むのではなく反射的に出てくる“神の一手”を楽しみにしている。

 年月と努力を重ねたからこそ、不測の事態に対応できるのは棋士もアイドルも同じだ。残り時間が少ない中で、見たこともない手を指されても対応するのが棋士。ステージ上で、様々なアクシデントが起きても瞬時に対応し、歌い踊り続けるのがアイドルだ。「たとえば私たちの場合だと、メンバーの誰かが急に(アクシデントで)ステージからはけてしまうことがあります。それを他のメンバーが立ち位置を工夫したり、いないところに入ったりします。衣装の小物が落ちてしまったら、危ないので舞台袖までうまく蹴っ飛ばしたり(笑)とっさの判断ですね」。曲が始まれば止まれない。不自然な動きはファンに見せられない。ほんの数秒で、しかも歌い踊りながら事態を把握し、対応する。笑いながら答えたが、これも素人には到底できないプロの技だ。

 今回の早指し対局は、短い対局時間の中にプロの技が凝縮される。アイデアを出した羽生竜王はもちろん、将棋界に新風を吹き込んだ天才・藤井聡太七段も登場する。「早指しは若い方が有利と言いますよね。でも藤井さんの活躍ぶりに谷川(浩司)先生が、他の棋士の方に『お前たち悔しくないのか』というようなことをおっしゃったのも聞いたので、他の棋士の方が意地を見せたら、ファンはもっと沸く気がします」と、観る将を代表する言葉を口にした。1分たりとも見逃せない超速将棋を、きっと鎌田も食い入るように見るはずだ。

 ◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するA組からC組まで各4人が参加し、各組2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。

(C)AbemaTV

▶6/17 20:00~ 第1回AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 #1-1

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出演者は、<予選A組>、藤井聡太七段、近藤誠也五…です。