持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Aブロック1位決定戦、橋本崇載八段(35)と藤井聡太七段(15)の三番勝負が6月17日に放送され、1局目を94手、2局目を63手で藤井七段が連勝。三番勝負を2勝0敗で制し、決勝トーナメント進出を決めた。藤井七段は初戦の近藤誠也五段(21)との対戦でも連勝。超早指しでも、ここまで4戦全勝と圧倒的な力を見せた。
がっぷり四つの守りあいと、超急戦。15歳の天才棋士が、どちらでもトップ棋士を上回って見せた。藤井七段の後手番で始まった1局目は、お互いの玉をがっちりと囲んだ相穴熊。先に仕掛けた橋本八段に対し、藤井七段は絶妙な見切りで反撃すると、一時は壊れかけた陣形を再生させ、橋本八段に「正直ちょっとバテました…」戦意を喪失させた。
続く2戦目は、開始わずか数分でお互いの刀がぶつかりあった。1局目から一転、お互いの玉を囲う前から戦いが始まると、解説の藤森哲也五段も「すごい乱戦でどうなるかと思った。自陣整備もないまま、すぐに戦いが始まった」と驚くほどだった。一時は先手の藤井七段が劣勢かと思われたが、超急戦の中でも少しずつ有効な一手を積み重ね、互角以上と見るや一気の寄せ。改めてその強さを見せつけた。
これで予選Aブロックでは、2人の実力者に無傷の4連勝を達成し決勝トーナメントに進出。「こうして4連勝という結果で、予選を抜けることができてうれしく思います。本戦でも厳しい戦いが続くかと思うんですが、これまでの勢いを活かして、積極的に戦っていきたいと思います」と、表情を崩した。わずか数十分で決着がつく超速将棋でも、さらに輝きを増す藤井七段。決勝トーナメントでも、さらにその指から放たれる一手が、将棋ファンの心に突き刺さる。
敗れた橋本崇載八段 藤井君は大器というか、いかなる状況でも落ち着いて指されていて、なかなかやっぱり、パンチがなかなか入らないというか、戦い上手という感じ。一流棋士と指している感じでしたね。今日のところは完敗です。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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