持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Aブロックの2位決定トーナメント1回戦(三番勝負)が6月24日に放送され、三枚堂達也六段(24)が近藤誠也五段(21)を2勝1敗で下し、橋本崇載八段(35)との2位決定戦へと進んだ。
若手実力者同士の対局は、3局いずれも超早指しながら最新の流行型を取り入れた将棋に。第1局、一時はペースを握ったもの後半に逆転されて手痛い黒星を喫した三枚堂六段だったが、第2局から立て直した。第1局とは逆に、近藤五段にリードされ「さすがに途中で負けたなと思った」ほどだったが、そこから驚異的な粘りを発揮。近藤五段の攻めを「首の皮一枚なんとか」粘り、逆転勝ちへとつなげた。
濃密な2局を終えた直後の第3局も超熱戦。解説を務めた斎藤慎太郎七段が「お二人の対局は大熱戦になりやすい。残り10秒ぐらいになってから40、50手ぐらい指したんじゃないですか」と指摘するように、最終的な手数は244手に達した。激戦続きの中、先勝されてからの2連勝での勝ち上がりに「ちょっとずつ自分らしい展開にはなってきています。だんだん調子が出てきたなという感触です」と、わずかな時間で手を読む独特のルールに、徐々に対応でき始めたようだ。
この戦いを制し、決勝トーナメント進出をかけ、橋本八段との再戦が決まった。「同じ相手に2度負けるのは悔しいので、今回は勝てるようにと思っています。実力者の橋本さんですから、甘い手は絶対に指せない。言ってみれば、角番をしのいで地獄から戻ってきたような感じなので、怖いものはないです」と、開き直った強さもある。敗戦の悔しさに勝利の勢いを加えた三枚堂六段は、橋本八段にリベンジを果たせるか。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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