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 たった一度の青春を駆け抜ける、ちょっとおバカでお騒がせな男子高校生4人の“友情”と“恋”がギュッと詰まった、胸がときめく青春映画『虹色デイズ』が7月6日(金)に公開される。メガホンをとったのは、映画『大人ドロップ』や『笑う招き猫』、TVドラマ『GTO』(2014年)など、これまでも青春物語を手がけてきた飯塚健監督。コミカルな演出と、こだわりの“生っぽさ”により、男子高校生の青春を瑞々しく描きだした。

 カルテット主演として選ばれたキャストは、佐野玲於GENERATIONS from EXILE TRIBE)、中川大志高杉真宙横浜流星の今をときめく若手俳優4人。彼らが撮影現場で見せた表情や、演出のこだわりなどを聞いた。

「常に腹が減っている」男子高生の生っぽさを意識してもらった

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(c)2018「虹色デイズ」製作委員会 (c)水野美波/集英社

――とてもテンポが良いな、というのが第一印象だったんですが、意識した部分を教えてください。

飯塚:3次元にするにあたり、セリフを自然に聞こえるように言うことが難しいのが本当だと思うんです。特にこのくらいの世代だと、何かを喋りながらも、たぶん常に腹が減っていたりすると思うんですよ(笑)。3限が過ぎて4限とかだったら、授業中でも「昼何食おうかな」しか考えてないじゃないですか。「そういうことを意識してほしい」という話は4人にずっとしていました。そういった“生っぽさ”みたいなものは、すごく考えました。

――撮影に入る前にリハーサル期間があったと聞きました。

飯塚:4ヶ月前に4人に集まってもらい、なんとなく4人のシーンだけ台本の読み合わせをして、あとは撮影の始まる2週間前に5日間くらいリハーサルをしました。4ヶ月前にやったのは、そこから4ヶ月間、彼らは別の仕事をしながら台本を広げることになるので、そこで相手の声を思い出せるようにやっておいたんです。1人で悶々と台本に向き合うよりも、「ああ、こんな感じで言ってたな」とか、思い出せる時間を作っておきたかったんです。

――仲の良い4人ですが、4人の関係性で意識した部分は?

飯塚:まず、まっつん(中川大志)と恵ちゃん(横浜流星)は小学校からの付き合いに見えるようにしたくて、リハーサルも2人の歩道橋のシーンから始めているんですよ。そこから距離感を作っていかなきゃいけないと思ったので。人って不思議なもので、僕らも初めましてのスタッフが揃ったりした時に、各部署で「この助手はこの親分とこれくらいの長さの付き合いなんだろうな」というのが、会った瞬間に空気感でなんとなくわかると思うんです。助手が2人いたときに、どっちが付き合いが長いかとか、人ってなぜかわかるんですよね。2人は、そういう付き合いの長さがわかるようにしたいなと思っていました。

高杉真宙の影響で佐野玲於がゲームを購入

――これまでに一緒にお仕事をしたキャストもいると思いますが、撮影現場での4人の雰囲気はどうでしたか?

飯塚:今回、真宙とだけ一緒にやるのは初めてでした。4人は現場でもキャッキャしてましたよ(笑)。

――意外だったことなどありますか?

飯塚:真宙が本当に漫画やゲームオタクだったのは少し意外でした。すごく詳しくて、それに感化されて確か玲於がゲームを現場で買ってるんですよ。そんな風に派生していっている感じが面白いな、と思って見ていました。あとは、流星とは初めて仕事をしたのが彼が中学生のときで、まだ俳優っぽさが出ていない頃だったので、単純に今回一緒にできて嬉しいなと思いました。俳優として成長した彼にカメラを向けることができて楽しかったです。

――横浜さんが成長したと感じた部分は?

飯塚:NO(ノー)を言わない。

――昔は言っていたんですか(笑)?

飯塚:昔も言わなかったですけど(笑)。しっかり答えを持ってきてくれるようになりました。

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中川大志への課題は、さらに俳優としてステップアップするよう“真っ直ぐ立つ”ことだった

――中川さんは?

飯塚:一緒にやるのはもう3本目なんですけど、毎回ちゃんと「この作品ではこれをやろう」と課題をもってやっています。あと実は、お芝居をやる上で【真っ直ぐ立つ】というのはとても難しいんです。体幹ももちろんですけど、腹式(呼吸)とかと似ていて。後半の渡り廊下でまり(恒松祐里)と話すシーンは長玉(望遠レンズ)で撮っていて、長回しで撮ると余計に真っ直ぐ立っている【ように見える】のはすごく難しいんですよ。そこにトライすることを今回の課題としてやっていました。

――それは監督が提案して、課題としてやっていたと?

飯塚:そうですね。どんどんその世代の中心的な俳優になっていくと思うので、彼の基盤に関わることを一緒にやったつもりです。ポケットに手を突っ込まない、何かにもたれない、腕を組まない、とかですね。今回の現場でも培われたものがあったらいいと思っています。

――なっちゃんが校舎内を走っていくクライマックスのシーンはミュージックビデオっぽい印象を受けました。

飯塚:セリフがないですからね、おっしゃる通りだと思います。でも、あのシーンで歌をかけるだろうな、とは思っていたんですけど、絶対に歌をかけると決めて撮ってはいないんです。編集で、「あ、なんかSUPER BEAVERいいな」と思ったので曲を当てて、繋いでみたんです。

――それがばっちりハマったんですね。他にも、まりが逃げ出して歩道橋にいるシーンや、杏奈が電車でなっちゃんの横を通り過ぎるシーンなど、歌にセリフを代弁させているような演出が多く登場しますね。

飯塚:電車のところは作詞もしたので、歌で代弁させるような演出にしました。BGMとみせかけて、スピーカーの音量領域を広げていくというか、歌モノにスイッチしちゃうという。なおかつ、奈(吉川愛)の目線で歌っていたものが、なっちゃん(佐野玲於)の目線に切り替わるように作詞はしました。まりの阿部真央さんの歌のところは、あれも探したらちょうどハマったというものです。歌モノの曲は、セリフがたくさんあるシーンだったらかける必要がないんです。邪魔になってしまうので。だから、歌モノをかけるところは基本的に映像で組み立てられているシーンになるんですけど、そこにハマる曲を探したらぴったりでした。

――撮影現場で印象的だったことは?

飯塚:歩道橋のまり(恒松祐里)とまっつん(中川大志)のシーンは、お芝居を何回もやらなきゃいけないのでタフさが求められるんです。どんどん精度良く何度もブレずにやってくれたので、たくましくなったなと思いました。1回の奇跡を撮りに行くこともできるんですけど、それはたぶんワンカット勝負のときです。現場で奇跡を狙っちゃいけないと思っていて、現場は実験の場所じゃなく、実験結果を撮るだけの場所だと思っているので、繰り返してその精度が下がらないのは、大志と恒松がすごいなと思いました。最後のなっちゃん(佐野玲於)と杏奈(吉川愛)のラストシーンも然りです。

――ラストのあのシーンも何回も?

飯塚:あれは5回くらいやりましたかね。

――ラストのシーンは、特に気持ちを保つのが大変そうですね。

飯塚:あれも2回目で芝居的にはとても良くてOKを出したんです。でも一か所、吉川の髪の毛が顔にかかったところがあって。あとで映像処理で消せるかもしれない、と消す用の素材も撮ったんですけど、現場の時点では100%できるかはわからないし、まだクランクアップまでの時間もあったので、もう少し粘ろうかと言ってやりました。

「よく聞くと、透明人間の声が入っています(笑)」

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――気づきにくい注目ポイントを教えてください。

飯塚:クリスマスパーティーで、「まりっぺおめでとう!」とか言っている中でよく耳を澄ましてもらうと、1人、ぺーぺー言ってるやつがいるんですよ。まりっぺの「ぺ」って意味で。演者たちではなくて、透明人間「ぺー」ってやつを作ったんですけど(笑)。

――なんですか(笑)。

飯塚:音響効果で作れちゃったんで、作ってみたんです(笑)。よく聞いてみると、人数おかしいな、と思うと思いますよ。演者は誰も言ってないので。でも、けっこう「ぺ」が聞こえるんですよ。気づいたら笑うと思います。

――監督が、青春モノや学生モノを撮る時に心がけていることは何ですか?

飯塚:生っぽく見えること。こんなやつ現実にいない、とならないようにしたいと思っています。(デフォルメされたキャラは)それはアニメにすればいいと思うんです。実写にする以上は人間にしないと、誰も幸せにならないと僕は思っています。

――今回、本当に「あー、いるいる!」みたいなシーンが詰まっていたので、まさに“生っぽい”男子高校生の姿が見られたと思います。

飯塚:それがお伝えできたならよかったです。

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(c)2018「虹色デイズ」製作委員会 (c)水野美波/集英社

写真:Yoko Senda

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