7月8日から始まる名古屋場所に向け、各力士たちの稽古は最終調整の段階に入っている。場所前は新大関栃ノ心を差し置き、7場所連続休場中の横綱稀勢の里の動向に多くの注目が集まった。九重部屋へ出稽古に出向いた2日は白鵬と“遭遇”。図らずも横綱同士の三番稽古となり、計10番を取った。内容的には白鵬の圧勝も「目が覚めた感じがする。(初日までを)しっかりやる」と稀勢の里にとっても収穫のある稽古だったに違いない。だからといって、必ずしも今場所の出場に結びつくわけではない。6月29、30日に行われた二所一門の連合稽古では通常、対戦が組まれることのない格下力士を稽古相手に指名。7月1日は休養日に充てるなど、この時期にしては稽古不足は否めず、さらに先を見据えているようにも思える。
初優勝した今年初場所から高いレベルで安定感を維持する栃ノ心は、先場所負傷した右手首にやや痛みを抱えるが稽古は順調のようだ。新大関ともなると、各方面の挨拶回りや公式イベント参加などで多忙を極めることになる。いかに稽古や休養、治療の時間を十分に確保し、体調管理に努めることができるかが、大関デビュー場所の大きなカギとなってくる。連覇中の横綱鶴竜は昨年の苦しい時期を乗り越え、もともとのうまさに力感も加わって今や円熟期を迎えていると言っていいだろう。3連覇も視野に入るが「全勝優勝もしてないので、そこを目指して」と気力も充実している。
昨年名古屋場所では史上最多白星の記録を打ち立てた白鵬。優勝回数もすでに40回の大台に乗せ、幕内1000勝も秋場所以降に持ち越しとなり、賜盃に向けてどれだけモチベーションを上げていけるか。
高安、豪栄道の既存の大関はともにカド番だが、高安は全休した先場所前は連続で12勝をマーク。ケガも癒えた今場所は優勝争いにも名を連ねてくるだろう。豪栄道も全勝優勝した2年前の秋場所、優勝同点だった昨年秋場所はいずれもカド番場所。ケガさえ治れば2ケタ白星以上の活躍も期待できる。
関脇以下で注目したいのが逸ノ城だ。約2年半ぶりに三役に復帰した今年3月場所から連続勝ち越しと安定感が出てきた。次期大関候補と言えば、この男。関脇連続2場所目となる今場所は大関取りの足掛かりとしたいところだ。
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