昨夏の勇姿を記憶に留めている人も多いだろう。藤井聡太七段(15)の史上最多連勝記録を「29」で止めた佐々木勇気六段(23)である。事前に藤井七段の対局の敵状視察に赴いた姿も、勝利後に語った「重圧はありましたが、私たちの世代の意地を見せたいと思っていました」という言葉も、今もなお強い印象を残したままだ。
 持ち時間各5分、1手指すごとに5秒が加算される「フィッシャールール」を採用した将棋の超早指し棋戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」が進行中だ。駒を指す互いの手が交錯するほどスピーティーな展開は、既存の「将棋対局」のイメージを覆す。真夏にふさわしい疾走感あふれるエンターテイメントである。