持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Cブロックの1位決定戦(三番勝負)が7月15日に放送され、佐々木勇気六段(23)が高見泰地叡王(25)を2勝1敗で下し、1位で決勝トーナメント進出を決めた。実力と勢いが伴う若手同士の顔合わせということもあり、フルセットの戦いは大熱戦に。最終局に勝利した直後、佐々木六段が「久しぶりにちょっと震えましたね。」と身心を削る戦いを制し、超早指し王に一歩近づいた。
数秒間の中で頭をフル回転させる戦いに、力を使い果たした。「今、放心状態です」。1勝1敗で迎えた最終局は、高見叡王にかなりリードされた終盤からの大逆転。174手で勝利を手にすると、1位通過の余韻に浸るどころか「ちょっとクタクタというのが正直なところ」と、苦笑いした。
まさに死闘だった。第1局、高見叡王に攻め立てられ肝を冷やした。なんとか勝利したが「急に勝ちになったのでびっくりした」と、勝者の心境ではなかった。続く第2局。今度は佐々木六段の方から仕掛けたが、返り討ちにあった。お互い攻め将棋が持ち味の2人。盤上でかみ合い、強烈なパンチの繰り出しあいが続いた。そして第3局。極限状態の中で、一時は高見叡王に勝ちがあったように見えた終盤だったが、そこから佐々木六段が逆転。まさに勢いの勝利だった。
各ブロックの中でも、4人中3人が23~25歳というライバルたちがそろったCブロック。その中で堂々たる1位を勝ち取り、決勝トーナメントに進んだ。「今はホッとした気持ちがあります。今度はもっと練習して、臨もうと思います」。激戦の先に待っているさらなる大勝負に、早くも期待に胸を膨らませていた。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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