陸上・十種競技の元日本王者にして“百獣の王”のタレント・武井壮が「1万戦しても1勝もできない」と語る存在がいる。「力士」だ。AbemaTV大相撲中継のゲスト出演時にインタビューに応じると、昨年実際に勝負を挑んだ横綱・白鵬について「ぶっちゃけ、今の僕の持ちうる戦力で、土俵の上で相撲のルールで戦ったら、1万戦しても1勝もできない」と、その圧倒的な力の差を認めた。もちろん身長、体重は大きく違う。ただ、それだけではない。素人目には巨漢のぶつかり合いにしか見えない数秒の戦いの中で、アスリート武井が目を見張り、驚く技術が無数に隠されていた。

 少年時代、真剣に力士を志したこともある武井にとって、テレビ企画で実現した幕内優勝40回を誇る大横綱・白鵬との対決は、衝撃の嵐だった。「(稽古で)胸を出してくれているところに突っ込んでいったら、受け止めてくれるんでしょうけど、その時は勝負だったんで」と、真剣に勝ちを目指しにいったはずが、戦う男の感性がすぐに働いた。「突っ込んでいったら、いなされるか力を利用されて軽々とやられるのがイメージできたんですよ。かといってまわしを取りに行こうと思ったら、手の届く場所にまわしがないんです」。テレビで相撲中継を見れば、どの力士もまわしを引いて寄ったり投げたりしているが、いざ対峙してみると数十センチ先にあるはずのまわしは、はるか先だった。

 白鵬の公式プロフィールは192センチ、155キロ。その巨体でどっしりと構えると、まわしどころか懐に入ることすら不可能に思えてくる。「白鵬関が構えて、腰をしっかり落として引いている状況だと、まわしはお腹で見えないし、取りに行くことなんて絶対にできない。胸に頭をつけようにも、あの大きな手で阻まれる。どうしようかと思っていたら、あちらから足技が飛んでくる。でも掴まれたら終了。そんな感じですよ」と、その絶望的な状況を身振りも交えながら語った。

 百歩譲って、まわしを運よく引けたとする。ただそこから先にも、険しい道のりが待っていた。「取ったとしても(腕を)極められる。上手で取ったとしても、すぐに切られる。実際にまわしを切る技術も見せてもらったんですけど、どんなにがっちり深く入れても『フンッ』て腕を入れて腰を動かすだけで切られちゃう。相撲のルールの中であれば、太刀打ちできるポイントが1つもないというのが正直な感想でしたね」と、改めて憧れていた力士へのリスペクトを深めたという。

 直径4.55メートルの土俵に中で、大きな力士が数秒で勝負を決する相撲の世界。身につけているものがまわしだけというシンプルな戦いだが、その伝統によって近代競技にはない奥深さがある。「積み重ねというものは、他の競技をやった時よりもありましたね。やっぱり古くからあるものですから」。押す、寄る、投げるなど決まり手に出てくる動作だけでなく、全体の力を一点に集中させて攻める、もしくは全体でバランスを取って相手の攻撃をしのぐ。そんな細かい点にも注目していれば、武井が「1万戦しても1勝もできない」と言った理由のかけらが見えてくるかもしれない。

(C)AbemaTV

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大相撲LIVE 名古屋場所(幕内)12日目 | 無料のインターネットテレビはAbemaTV(アベマTV)
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出演者は、解説:若兎馬、ゲスト:はなわ、実況:高…です。
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