持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治」の予選Cブロックの2位決定戦1回戦(三番勝負)が7月22日に放送され、永瀬拓矢七段(25)がA級棋士・阿久津主税八段(36)を2連勝で退け、高見泰地叡王(25)との2位決定戦に進出した。
ついに“軍曹”の照準が、この超速将棋でぴったりと定まった。1位決定トーナメント1回戦では、佐々木勇気六段(23)とフルセットまで戦い、1勝2敗で敗れた。それでも将棋は才能よりも努力と断言する永瀬七段が、このまま終わるはずもない。気持ちを切り替え、かつ超早指し戦に向く戦術を頭の中で整理した。1局目、2局目ともに相穴熊。お互いしっかり玉を囲うだけに、一度差がつくとなかなか大逆転は起こりにくい。その中で永瀬七段は着実に差を広げ、阿久津八段に「永瀬七段との2局は、残念というか将棋にならなかった」と嘆かせた。
これで決勝トーナメント進出へと望みをつなぎ、2位決定戦では高見叡王との25歳対決となる。「徐々に対局をこなすにつれて、楽しく指すことができている。全体的に課題というものはあったんですけど、ある程度の内容で指すことはできたんじゃないかと思います」と、計5局で未体験のスピード感にも慣れた。若手棋戦に2度優勝、タイトル戦にも2度出場した実力者が、いよいよ真価を発揮し始めた。
◆AbemaTVトーナメント Inspired by 羽生善治 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治竜王が着想した、独自のルールで行われる超早指し戦によるトーナメント。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生竜王が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選は藤井聡太七段が登場するAブロックからCブロックまで各4人が参加し、各ブロック2人が決勝トーナメントへ。シードの羽生竜王、久保利明王将を加えた8人で、最速・最強の座を争う。
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