
独立行政法人国立青少年教育振興機構は25日、「インターネット社会の親子関係に関する意識調査報告書」を発表した。これによると、「家族が一緒にいてもそれぞれがスマートフォンを操作しているか」について、「よくある」「たまにある」と答えた日本の小中学生の割合は約6割にのぼり、米国・韓国・中国の4カ国の中で最も高かった。
街にいる親子に話を聞いてみると、子どもからは「携帯やんないで話聞いてよって思う。たまに仕事のやつもあって必要な時もあるから、必要がない場合はなるべく避けてほしい」といった声や、母親の「(私と)お話してない?」との問いに「してない!」と答える子どもも。
子どもが話しかけてきても親がスマホに夢中――そうした状況を子どもはよく見ているようだ。また同調査では、「子どもが親(保護者)と話そうとする時、親は『時間がない』『いま忙しい』などと言う」と回答した小中学生も、約4割いることがわかっている。

そんな中、ルールを決めてスマホをコミュニケーション手段として使っているという親子もいる。「親子でLINEグループを作って、学校行事の動画を共有したりとか思い出を共有したりとか」(母親)、「LINEの使い方とかこういう新機能あるんだよという感じで教え合ったりする」(子ども)といった声があがった。
スマホとの関わり方について、マサチューセッツ工科大学教授で心理学者のシェリー・タークル氏は「スマホによって人は対面の会話能力が衰え、仕事は“ユニタスク”から“マルチタスク”になり生産性も落ちる」と警鐘を鳴らす一方、「このリスクを認識し、スマホと良い距離感を取っていれば問題はない」としている。
では、スマホとの“良い距離感”をどのように取ればいいのか。政策・メディアに精通する東京工業大学准教授の西田亮介氏は「スマホを使うようになったので家族とコミュニケーションしなくなった、だからスマホは良くないんだ、と言ってしまいがちだが、新技術でできるようになったことがたくさんあること、正しく使えば子どもとのコミュニケーション時間を長くすることもできる」と指摘。スマホの良い面と悪い面を理解して、“上手く使うこと”が必要だと話す。

また西田氏は、「昔の技術に我々は馴染みがち」だとして電話を引き合いに出し、「電話で話す方がスマホでやり取りするより良いと思われがちだが、電話も昔はなかったもの。電話もある時期までは新技術だったわけで、馴染んでいるから良いコミュニケーションだと思っているに過ぎない」と説明。「スマホ以外での親子の接し方や家族の在り方を、これを機に考えてみてもいいのでは」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)



