8月5日のKrush後楽園大会では、設立から10年になるこのイベントでも最高峰の打撃戦が展開されることになりそうだ。
(公開練習で見せたパンチもド迫力。丁寧さも意識しているという)
(C)Good Loser
この大会で行なわれるのは、ウェルター級(67.5kg)のタイトルマッチ。王者・塚越仁志に木村“フィリップ”ミノルが挑む。
塚越は誰もが認める“激闘派”ファイター。常に倒し、倒されのスリリングな打ち合いを繰り広げ、その中で勝ち上がってチャンピオンになった。
対する木村はK-1、Krush屈指の人気選手で、爆発力が持ち味のKOパンチャー。このところ連続KO勝利を収めており、その勢いでプロ初戴冠を狙う。
(これまで何度も“死闘”を乗り越えてきた塚越。正念場でこそ誰もが驚く底力を見せる)
(C)Good Loser
互いに実力、プロとしての魅力を認め合っており、いわば“相思相愛”の2人によるタイトルマッチ。KO決着が予想される大一番に向け、木村は公開練習で塚越を「色気がある。アルツロ・ガッティみたい」と評している。ガッティと言えばボクシングの名選手で90年代、00年代前半に活躍。特にミッキー・ウォードとの計3回の“死闘”は有名だ。塚越vs木村は、まさにこのガッティvsウォードのKrush版を予感させるもの。
武器である攻撃力について、木村は「分かりやすく上がってます。ステージが一つ上がった気がします」と語っている。ただし、今の木村は勢いやガムシャラさだけではない。自分の成長について、冷静に見ている部分もあるようだ。
「練習での進化は本物の進化じゃない。試合でまた違う価値観を見せてこそ本物の進化」 塚越戦は進化を証明するための舞台であり、その結果としてチャンピオンベルトがある。そしてベルトを獲るためには「一歩も一瞬も相手にペースを渡さない。いい勝負というより自分の勝負にしたい。リングに上がったら他人の人生は関係ないんで」とも。
つまりは“完勝”宣言だ。わずかな駆け引き、一発の攻撃で試合の流れを引き寄せる力を、両者とも持っているのがこの試合。一方的な展開になってもおかしくはないだろう。だからこそ、瞬きもできないほどの緊張感がある一戦なのだ。