場所は東京の中でも、おしゃれなスポットとして人気が高い西麻布。その場にふさわしい姿で次々とビルの一室にあるカウンターバーからシャンパンを手に取る。会話もさぞセレブ感漂うかと思われたが、乾杯のあとに始まったのは、なんと麻雀だった。麻雀店「西麻布RTD」で定期的に開催されている麻雀女子コミュニティ「MAHCHAM(マーシャン)」は、広告会社の取締役を務める朝倉道宏さんが、趣味の麻雀を女性にもっと楽しんでもらおうと始めたものだ。「素敵なラウンジのようなところで、女性に麻雀を広めたいと思ったので。麻雀と、その対極にあるシャンパンというのを造語にしてMAHCHAMとしました」。登山、釣り、競馬など、必ずしも女性受けしてこなかったものが、ある時を境に「○○女子」として流行してきた。「麻雀女子」ブーム到来を目指す朝倉さんに、詳細を聞いた。
麻雀といえば、どうしても女性からは敬遠されがちなイメージが多くつきまとってきた。「おやじくささ、ギャンブル、たばこくささですかね。ただ、この女性が断る理由を全部削っていったのがMAHCHAMの始まりです」。会場となっている西麻布RTDは、麻雀卓さえなければ、場所も内観も業界人御用達のお忍びラウンジのような雰囲気だ。「知り合いに紹介をしていただいて。実際に来てみたら素敵だったので、オーナーの張敏賢プロに相談したら『ぜひ使ってください。先生役もやります』と言っていただいたんです」と、話はスムーズに前へと進んだ。
いざ、MAHCHAMを始める前に、テストもした。メディア編集者の品原由衣さん、PR会社役員の橋本菜々子さん、アートディレクターの井上昌紀さんに声をかけて、男性女性2人ずつで麻雀をしてみた。女性は麻雀初心者だった。するとこれが想像以上に「めちゃめちゃおもしろいと言ってくれて」と好反応。若い女性と中高年男性の接点を作るのはなかなか難しいが、麻雀があれば無駄な会話もなく、むしろ目の前のゲームについて盛り上がれる。WIN-WINの関係が成立する様子がイメージできた。しかもこの時の4人はそのままMAHCHAMの主催者になった。
トライアルも経て、ついにスタートしたMAHCHAMは、やはり感触がよかった。麻雀のイメージとは異なるおしゃれ空間に、シャンパンで要素を追加。参加者を女性のみでスタートしたことも成功の要因となった。「みなさん、時間ぎりぎりいっぱいまで楽しんでくれています。会の途中でご飯を注文するんですが、その時にカレーを頼んだら『麻雀しながらカレーを食べる』という行為のシズル感がよかったようで」と笑った。眼前の勝負に集中しながら、男性陣が空いた腹を満たすためにかきこむように食べてきたカレー。そんなものでも、初体験の女性陣にとっては「インスタ映え」までする一瞬だという。
今後はさらに規模を拡大し、大会のようなものまで開きたいという。また、仕事上の付き合いなどでも「パワーポイントを覚えるよりも、麻雀を覚える方がビジネススキルになると思っています。戦略性や駆け引きも学べますから」と胸を張った。近年では麻雀による社内や企業間交流なども増えているという。“ひと足先に”知っておきたい、時代の先端を目指すアーリーアダプターの女性ならば、今から牌の1つも触っておいた方がよいかもしれない。
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