大相撲の秋場所が9月9日から東京・両国国技館で始まる。ここ3場所続けて負け越しながら、なんとか幕尻で踏み止まった石浦(宮城野)は174センチ、117キロの小兵力士。幕内力士の平均からすれば、身長で10センチ、体重で50キロ近く小さいことになる。そんな石浦が、土俵を素早く動き回り、200キロ級の巨漢力士を倒そうものなら、館内からは割れんばかりの歓声と拍手が降り注がれる。「自分が小学生の時に、舞の海さんや智ノ花さんの相撲を見ていたので」と、先輩小兵力士の活躍ぶりは、今でもはっきり覚えている。そんな石浦の目標は、先輩2人が到達した三役だ。
これまでの最高位は前頭8枚目。幕内に復帰した今年の初場所では9勝6敗と勝ち越したが、そこから7勝8敗、6勝9敗、7勝8敗と、あと一歩のところで負け越している。名古屋場所については「ほとんど反省ですね。立ち急ぐ相撲が多かった。もっと我慢して取れば、また結果は違ったかなと思います」と、巡業中も大きな相手であっても、立ち合いで当たった後にグッと我慢することを心掛けている。
素早い動きで相手を翻弄し、得意の左でまわしを引けば、石浦の形になる。目標の1つに「技能賞を取りたい」というように、体格のハンデをカバーする技のレパートリーも必要だ。「舞の海さんや智ノ花さんは、素人が見てもおもしろいという相撲を取られていた。自分も初めて相撲を見た人でも、おもしろいねって思われるような、あと玄人が見たら、今日はどんな相撲を取るんだろうと、わくわくさせるような相撲取りになりたいですね」。現役当時、舞の海の決まり手は33種、智ノ花は34種。ただ、石浦の相撲の取り口は変幻自在というよりも、むしろ正攻法だ。「親方にも横綱(白鵬)にも、お前は前に出た方が強いと言われる」というように、かわすスピードではなく、飛び込むスピードで大型力士に挑戦する。
負け越せば、もれなく十両に陥落する位置だけに、秋場所の目標は「8番勝つこと」だ。同じ部屋で石浦よりもさらに小さい炎鵬も十両復帰を果たした。角界一の小兵として、また部屋の兄弟子として、4場所ぶりの勝ち越しをがっちり掴み取る。
(C)AbemaTV