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 女子体操の宮川紗江選手の会見から1週間。宮川選手への暴力が指摘され、一連のパワハラ騒動の発端となった速見佑斗元コーチが5日午後、都内で謝罪会見を行った。

 会見の中で速見元コーチは「自分も子供の頃にそういう指導を受けていた。気持ちが入っていないと叩かれた。自分も体験したから、という認識自体から考え直さなければならない」と反省の弁を述べた。

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 スポーツライターの小林信也氏は「スポーツ界の歴史の中で、こんなにはっきりと"暴力はダメだ"と言ったのは初めてだと思う。大げさに言えば歴史的な出来事だ。暴力を一切認めない、受け入れてはいけない。体罰やそういう指導で勝ったからといって肯定しない、いい思い出にもしない、ということをはっきりと示してくれた会見だと思う」と評価。

 「速見コーチとしては、なぜこの時期に処分が下されたのか、他の目的があったのではないか、などのわだかまりもあったはずだ。しかしそれを捨てて自分の暴力の問題と向き合おうとしていることが伺えた。これだけ世間でパワハラがダメだと言われる一方、スポーツ界は全く変わらなかった。結果が重視されるあまり、体罰も肯定されるなど、負の連鎖を食い止めることができなかった。しかし一連の出来事によって、"変わらなければ"という段階にまで来ている」。

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 カリスマ店員のぺえは、小中高とバレーボールを続け、山形代表としてジュニアオリンピックに出場した経験も持つ。体育大学の出身でもあることから、「学生時代は、正直言えないような環境でやってきた部分もある」と明かす。

 「どんなに厳しい指導でも、勝負に勝つための指導ではあったし、愛を感じてもいたので、信じてやってきた。それでも暴力は良くないし、良い結果が出ると嫌でも我慢してしまい、救いを求める声も上げられない。そういう環境を整えて欲しい。自分が選んだコーチと二人三脚で頑張りたいという宮川選手の意思を尊重して、2年後の東京オリンピックに向けて再出発してほしい」。

 小林氏は「速見コーチが、今後の宮川選手のサポートについてどう考えているかに注目していた。日本代表の場では事実上コーチをすることができないし、他のコーチに任せ、一時的に宮川選手と別れるのが良いのではないかと考えていたが、"傷ついて不安定になっている宮川選手をサポートできるのは自分なのではないか"という思いを持っていることが伝わってきた」と話した。

■塚原夫妻の言動、第三者委員会はきちんとした調査を

 会見の後半には記者から塚原夫妻から朝日生命体操クラブへの勧誘があったかどうかについての質問も飛び出した。本当に勧誘が行われていたとすれば利益相反の問題にもなり、塚原夫妻側は勧誘していないと主張しているが、速見コーチは「合計3回の勧誘を受け、全て断った」と証言した。一度目は3、4年前、宮川選手が中学3年生の時に朝日生命のコーチから呼び出され、「宮川選手とセットでウチに入って欲しい」「塚原光男先生から頼まれた」と言われたという。そして去年、モントリオール世界体操で塚原千恵子氏の側近から「朝日生命に入ればすごく良くしてくれる」と勧誘されたという。

 スポーツ庁のスポーツ審議会委員も務める境田正樹弁護士は「第三者委員会の経験から、一つの言動のみをもって判断するというのでは全体が見えない」と指摘する。

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 「協会の中でどういったマネジメントがなされていて、誰がどのような責任を負っているのかをはっきりさせないといけない。例えば体操協会のホームページを見ると、年間予算15億円のうち、強化費に5億円近くが配分されている。つまり選手の強化にそれだけの体制が敷かれているということだ。加えて選手の選考権限もある。その中で塚原夫妻がどこまでの権限を持っていて、そしてそれが適正に行使してきたのか。その全体像が見えてこないと真実はわからない。体操協会の第三者委員会はきちんとした調査をし、人、物、金の流れを見てほしい。その上で理事の任免権と解任権をもつ評議委員会が、塚原夫妻の人事が適切なのかをきちんと判断してもらいたい」。

 8bitNews主宰の堀潤氏は「協会の幹部と私的なスポーツクラブの経営者たちが同じ人物で、選手への影響力を持っていたということ。この構図は客観的に見ても問題があるし、塚原夫妻が自身の口で説明をして改めなければならない。女子体操協会の今後のことも考えてしっかりと責任を明らかにしてほしいという思いがある」と話す。

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 「スポーツ指導者というのは、子どもたちが小さい頃から関わる一番身近な大人でもある。そういう人たちがパワハラをしているという認識がないこと一番の問題だ。塚原夫妻には体操協会の振興のために全力を尽くしてきたという確固たる思いがあると感じるし、良かれと思ってやったことなのだろうとは思うが、そもそもそこに認識の違いがあるということを気づくべきだ」。

 堀氏の話を受けて小林氏は「そこにスポーツ界が変わってこなかった一番の原因がある。上の立場にいる人は、"私たちは日本のためにやっている。選手のためにやっているのに何が悪い。しかもお金をもらっていない"という考えでいる。この問題を複雑にするか否かは塚原夫妻にかかっている。18歳の宮川選手も、速見元コーチも、自分のやるべきことを会見で明言した。それならば一番の大人であり、社会経験がある塚原夫妻がどのような決断をするのか。それが皆が納得できるものであれば、この問題は自ずと解決する」と厳しく指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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