関取になると本場所はそれまでの稽古場と兼用だった木綿の黒廻しから、絹織物である博多織の繻子で作られた締込を締めるようになる。日本相撲協会の公認相撲規則、力士規定第4条には「十枚目(十両)以上の力士は、紺・紫系統の繻子の締込を使用し、同色の絹の下がりを使用すること」とある。しかし、カラーテレビが普及した昭和40年代以降、高見山が締めていたオレンジの廻しに代表されるように、締込は時代とともに次第にカラフルな傾向になっていく。
過去には色が派手すぎて協会から“物言い”がつくケースもあり、2年前の初場所が新十両だった剣翔はピンクを希望していたが、遠慮して現在の明るいエンジ色に落ち着いた。しかし、その2場所後、宇良が度肝を抜くようなド派手なピンクの締込で颯爽と関取デビューを果たすと「えー、ピンクいけたの?」と本気で悔しがった。
現在は十両の天空海のライトグリーン、翔猿の薄いゴールド、明生のシルバー、琴恵光のライトパープルなど、ビビッドカラーが比較的、目立っている。こうした個性的な色を選ぶ力士の最も多い理由は「他にない色を締めたかった」というもの。
明瀬山も先場所、エメラルドグリーンのものを新調したが初日から7連敗したため、元の紫に戻すと連勝に転じた。今場所もエメラルドグリーンで臨んだが、やはり連敗続きで先場所同様、元に戻すとこれまた白星が続くなど、すっかり験担ぎが功を奏した状態だ。
締込の色も力士にとっては個性やイメージの大事な要素のひとつ。今後も既成概念を打ち破る、まだお目見えしたことがない色が飛び出すかもしれない!?
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