関取にはなれなかったが、相撲ファンに愛された名物力士が今場所限りで18年半の土俵生活にピリオドを打った。最高位は幕下四十三枚目。各段優勝もなく、これといった成績は残せなかったが、大相撲史にはその名をしっかりと刻み込んだ。秋場所前の計量では、自らが持つ歴代最重量の体重を更新する292.6キロをマークした、ロシア出身の大露羅。目前だった300キロの大台は「やってみようと思ったけど、きつくてできなかった。落とすのも大変だし」と叶わぬ夢に終わった。
巨漢ゆえに酒や食事に関するエピソードは挙げたらキリがない。大好きなみかんは食べ始めると止まらなくなり、ひと箱は軽く平らげる。師匠だった故・北の湖理事長にはなぜか昔から可愛がられ、長年にわたって付け人を務めたが、角界屈指の酒豪2人が一献傾けるとまさにエンドレス。一升瓶の焼酎を5本空けても「途中で汗をかくから酔いも冷めて、いくら飲んでも変わらない」と平然と飲み続けたという逸話も残る。
最後の場所は序二段十二枚目で1勝6敗。四日目の相撲では控えから立ち上がろうとしたところでバランスを崩し、四つん這いになりながら土俵に上がり、館内の失笑を買ったが、実は隣に座っていた審判委員の友綱親方の紋服の裾に、たまたま足が引っかかってしまうアクシデントだったことは、本人の名誉のためにもここに記しておきたい。そんな大露羅も序二段時代の白鵬には勝っており、通算対戦成績は1勝0敗と大横綱に勝ち越している。
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