10月1日にスタートする麻雀プロリーグ「Mリーグ」7チームのうち1つは、サイバーエージェントの「渋谷ABEMAS」。同社とテレビ朝日の共同出資によるインターネットテレビ局「AbemaTV」の名を入れたチームだ。そのAbemaTVはMリーグの全試合を放送。開局以来の「麻雀チャンネル」で注目を浴びた3人のプロ雀士と契約し「放送&初代王者」という、渋谷ABEMASにしかできない目標を掲げている。チーム担当者も「各世代のスターとして番組に出演している3名を指名させていただきました。チーム構成のポイントは『世代も団体も違う3名が織り成すタスキのつなげ方』です」と、自信を見せた。
2年が経ったAbemaTVにおいて「麻雀」は、日本唯一の「麻雀専門チャンネル」として開局当初から存在し、多くのファンに支持されてきた。「麻雀は放送に向いているコンテンツです。特性上、短尺で切り取られた一瞬でも十分に楽しめること、また長期的なドラマとして楽しむことができる『対人ゲーム』であることが主な要因です。間違いなく、人(雀士)を知れば知るほど好きになると思います」と、24時間365日、麻雀だけを放送してきた実績は、Mリーグ誕生を迎えても大きな支えになっている。
Mリーグの初代チェアマンが、サイバーエージェントの社長でもある藤田晋氏であることもあってか、同リーグの理念はどのチームよりも強く意識する。「プロがプロとして生きられない厳しい世界であり、道半ばで去っていった方を何人も見てきました。Mリーグが発足することで、これからは麻雀界に目指すべきステージができることになります。新たに競技スポーツとしての地位を築き、他のメジャースポーツのように、プロ雀士がプロ選手として生活し、広く活躍できる業界に変われると信じて止みません」と、単に放送する局として視聴者を獲得するのが目的ではなく、麻雀界の発展が真の目標だ。
AbemaTVでは、ゲーム専門チャンネルも持ち、その中ではブームの兆しが見えるeスポーツ番組の多く放送している。リーグを盛り上げるヒントはこの中にもある。「eスポーツが観る文化を確立できていることには注目していて、麻雀の観戦の仕組みづくりや、みんなで盛り上がる競技としての成長が、今後の課題になると考えています。やはり競技を観て盛り上がるという文化が、まだまだ成熟していないので、ここを努力していきたいです」。スポーツであれ、ゲームであれ、プレイヤーだけでなく「観るファン」が増えないことには、放送も興行も成り立たない。ここを成熟させることが、Mリーグを成功させることに直結している。
「Abema」の名前を背負ったチームである以上、恥ずかしい成績は残せない。ファン拡大には「プロとして、多くの人に憧れを抱かせること」と話すだけに、放送だけでなく選手・チームの成績も、ファンが夢見るようなものでなければいけない。プロ野球でもサッカーでも、試合を伝えるメディアの名を持つチームとしてリーグの中心的に存在してきた歴史もある。果たしてMリーグで、AbemaTVは「渋谷ABEMAS」のどんな試合結果を伝えることになるのか。
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